音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第29回の「資産形成商品#3 投資信託を知ろう!③ファンドと投資信託、どう違う?インデックスファンド、アクティブファンドとは?【第29話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
今回は、いま多くの皆さんに注目されているインデックスファンドや、いまいち使い方が分からないという声も多いアクティブファンドの話などをしていきたいと思います。
はい、基本的には同じで「資金が集まったもの」を指します。
厳密には、ファンドの中に投資信託が含まれるのですが、一般の個人投資家にとっては「ファンド=投資信託」と理解していただいて問題ありません。
株価の銘柄のように、投資信託の名前のことを「ファンド名」とよびます。これは投資信託の商品名のことで、新NISA制度の投資信託一覧にも、「ファンド名称」という項目があります。
ファンドには、主に「公募ファンド」と「私募ファンド」の二種類があります。
金融機関を通して、多数の投資家が購入できる投資信託が「公募ファンド」です。
一方で、「私募ファンド」という、限られた投資家だけが投資できるファンドも存在します。募集対象人数が50人未満のもので、たとえば「ヘッジファンド」が有名です。高額投資をする人限定のファンドで、プライベートに募集されるため私募ファンドと呼ばれます。ただ、最近ではヘッジファンドも投資戦略としてのヘッジファンドという意味もあり、多数の投資家に開放されているものもあります。
とはいえ、私募ファンドに一般の投資家が関わることはまずないので、公募ファンドのほうを覚えておきましょう。投資初心者が一番知っておくべきなのは、やはり投資信託ですね。
投資信託には「目論見書」というものがあり、運用方針や商品設計、利益分配の条件、投資条件などが記されています。「この内容を確認したうえで、このファンドにお金を預けますか?」という確認書ですね。
運用会社が設計したコンセプトに賛同した投資家からお金を募って、そのお金を元に「投資信託」が生まれ、運用されます。
ちなみに、ファンドには「愛称」という、いわゆるニックネームがついているものもあります。ファンド名は長いものが多いんですよ。
いえ、オルカンは違います。オルカンは、インデックス(株価指数)の名前の略称です。正式には「MSCI All Country World Index(オール・カントリー・ワールド指数)」といいます。以前は、金融業界では「アクワイ」と呼ぶ人もいましたが、最近ではオルカン呼びが主流になりましたね。
「オルカン」をベンチマークにしたインデックスファンドは総じてそう呼ばれますが、中でも三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXISシリーズ」は代表例です。信託報酬が安くて有名ですが、ほかの運用会社の商品も基本的には同じです。
はい。ちなみに、まったく元の名前が分からないファンド愛称もあったりします。ですが、新聞などで見ていくうちになじんでくると思います。
金融業界では、略称や通称というものがよく登場します。投資信託も、略して「投信」とよぶことがあります。
それぞれ運用方針が異なります。投資信託の運用方針は、「パッシブ運用」と「アクティブ運用」の二つに大きく分けられます。
パッシブ運用されるファンドが「インデックスファンド(パッシブファンド)」、アクティブ運用されるファンドは「アクティブファンド」と呼ばれています。
まず、インデックスファンドですが、ベンチマークと同じようなパフォーマンスが再現できるように工夫されている投資信託です。
一方で、アクティブファンドは、ベンチマークを上回る成果を目指して運用されている投資信託です。
先ほど出てきたオルカンはインデックス、つまり指標です。インデックスファンドとアクティブファンドの両方で、目安として使われています。この指標を運用の世界で「ベンチマーク」といいます。
インデックスとは、株式のことであれば「株価指数」のことです。インデックスファンドは、この株価指数に連動した値動きを再現するように運用される投資信託を指します。
株価指数について、日本取引所グループの定義を見てみましょう。
株価指数とは、一言でいえば、上場銘柄全体をあらわす指標です。株式市場全体が上がったか下がったかを見る物差しと考えれば理解しやすいでしょう。
つまり、市場を把握する物差しですね。具体的には、TOPIXとか日経平均株価、S&P500などですが、聞いたことはありますか?
日経平均株価は、上場している225銘柄の株価を元に、日本経済新聞社が算出した平均値です。市場の全体的な動きが、この株価指数の値動きを見ると分かります。
つまり、市場の平均的な値動きを再現して運用する投資信託のことを「インデックスファンド」といいます。
はい、その通りです。前に、「インデックスファンドは、どの運用会社でも全部一緒ではなく、実は微妙に違う」という話をしました。
つまり、各社が同じような商品を出しているということです。矛盾したことを言うようですが、運用結果にあまり差はないので、だいたい同じような商品だと理解してください。
アクティブファンドは、各運用会社の腕の見せ所ですね。「インデックスを上回るリターンを狙おう」と、ファンドマネージャーやポートフォリオマネージャーが頑張るわけです。
人がたくさん介在して情報を収集して、ベンチマークを上回るようなリターンを出そうと運用するので、運用コストが高くなる傾向があります。
一方で、インデックスファンドは、市場の値動きに沿うので、運用成果は、運用者の手腕にあまり左右されませんし、運用の手間もアクティブファンドに比べるとかかりません。そのため、手数料が安いのが特徴です。
そうですね。「インデックスを上回るリターンを狙う」運用の仕事をしていました。
私自身は、インデックスファンドもアクティブファンドもどちらも保有しています。インデックスファンドは市場をとらえるという意味では便利な金融商品です。手数料も安いですし、ベンチマークに対して大きく勝ったり負けたりもありません。ただ、逆にいうと特徴がないんです。
アクティブファンドは、運用会社の方針が明確に出ます。そこに賛同したいということであれば、リスクをとり、リターンを得ることもできます。
どちらにもそれぞれメリットがあるので、インデックスとアクティブ、どちらも組み合わせるといいのではないでしょうか。
はい、あります。債券のインデックスは、国内の債券であれば、「NOMURA-BPI総合」といったものがありますし、ボンド・インデックス、REITでは、日本のREITであれば、「J-REIT」という指数があります。
そうですね。あとは、「バランス型ファンド(バランスファンド)」という言葉もよく聞くかもしれません。
先ほどの「インデックス」と「アクティブ」は、ファンドの運用方針のことですが、「バランス型ファンド」は、組み入れ資産が複数入っているファンドのことです。
「日本株式、先進国株、新興国株、日本債券」など、いろいろな種類の資産を分散してポートフォリオにしています。逆に、「日本株式のみのファンド」などもあります。
初心者は、まずインデックスファンドを試してみると、値動きの雰囲気に慣れることができると思いますよ。商品の選び方は、それぞれの資産形成の方針や経験値によって変わるということです。