投資信託を知ろう!②投資信託の値段「基準価額」はどう決まる?投資信託で利益が出る仕組みとは?【第28話】
資産形成商品#2

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はじめに
音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第28回の「資産形成商品#2 投資信託を知ろう!②投資信託の値段「基準価額」はどう決まる?投資信託で利益が出る仕組みとは?【第28話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
投資信託の価格はどう決まる?
今日のテーマは「投資信託の価格決定と利益が生まれる仕組み」についてです。投資信託とは、プロが選んだ「株・債券・金・REIT(不動産)」など、単品、もしくは複数の資産を組み合わせて運用する金融商品のことですね。
その通りです。投資信託は「口(くち)」という単位で購入します。また、一口あたりの値段を「基準価額(きじゅんかがく)」と呼びます。基準「価格」(きじゅんかかく)ではありません。
新聞や商品の運用実績ページに記載されている基準価額は、分かりやすく「1万口単位」になっていることが多いです。
例えば、1万口の基準価額が3万円の場合、一口あたりの値段は3円です。100円から購入可能な場合には、300円投資すると100口買えます。なお、購入可能な数量は、商品の「申し込み単位」という項目で確認できます。
基準価額は、どうやって決まるのでしょうか。
投資信託は、最初は「1口1円」で設定されることが多いです。それを1万口で換算したものが基準価額となるので、最初の基準価額は1万円からスタートします。
その後、運用していく中で毎日資産価格が変動しますが、投資信託の運用資産総額を全体の口数で割ることで1口当たりの価格が出ます。それを1万口分、つまり1万倍すると基準価額となります。
また、投資信託の運用資産全体のことを「純資産総額」とよんでいます。
基準価額は、毎日決まるものなのでしょうか。
はい、相場が開いている場合は終値で決まります。日本では、東京証券取引所が閉まる午後3時半の終値で基準価額が算出される資産価格となり、運用会社が当日午後8時までに算出します。
海外資産については、一営業日前から当日の早朝に取得できる、各海外市場の終値で計算されます。
また、海外資産の場合、基準価額の算出に「為替レート」も必要です。通常は、基準価額を計算する当日の午前10時頃のレートが使用されます。
このように計算された基準価額が、毎日の投資信託の価格となります。
投資信託の利益は「分配金」と「売却益」
投資信託では、どのように利益を出していくのか教えてください。
投資信託による利益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があります。どちらも株式や債券など、金融商品全般に当てはまる言葉です。
「インカムゲイン」とは、資産を持っていることで得られる利益です。投資信託なら収益分配金、株式なら配当金、債券なら利子と呼ばれます。
「キャピタルゲイン」とは、金融資産を売却した際に、購入時よりも高値で売却できた場合に得られる利益を指します。
ここでは投資信託の分配金に絞ってお話ししますが、分配金は通常、投資信託の決算日に現金で支払われます。
投資信託には企業と同じように決算日があり、「毎月・3ヵ月・半年・1年ごと」など、商品によってタイミングが異なります。
決算日には、分配金が支払われるほか、損益・資産の状況が計算され報告されます。
まさに企業の決算のような仕組みですね。
はい。一方で、分配金は支払われないこともあります。支払うと、その投資信託で運用する資金が減ります。また、投資家の選択により、そのまま再投資にまわす場合があります。
分配金を出さない投資信託もありますし、受け取りを選べるタイプもあります。
分配金のあるなしについては、どう選ぶと良いのでしょうか。
長期運用であれば、複利の効果を狙って「分配金なし」がいいでしょうね。資産形成ができていない場合は、分配金を受け取りながら運用すると、なかなか資産が増えません。分配金を受け取りながらの運用は、ある程度資産形成できている人の方が相性が良いでしょう。
ちなみに、新NISA制度のつみたて投資枠の対象商品は、毎月分配型ではないものが選ばれています。新NISAは長期で資産形成することを目的としているからです。
投資信託の基準価額は、株式・債券・金・REIT(不動産)など、それぞれの価格変動に影響を受けます。複雑な要素が絡み合っていますが、そこをコントロールするのが運用担当者であるファンドマネージャーの腕の見せ所ですね。
第28話のまとめ
- 投資信託の買い方は「口(くち)」単位。1万口あたりの金額は「基準価額(きじゅんかがく)」と呼ぶ
- 投資信託の利益には「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」がある
- インカムゲインは、投資信託を保有することで得られる利益、キャピタルゲインは、売却時の利益
- 投資信託のインカムゲイン(分配金)は商品によってあるものとないものがあり、運用戦略によっては支払われないこともある
- 長期運用の場合は、分配金がない方が適している。新NISA制度の「つみたて投資枠」対象の商品は、毎月分配型ではないものが選ばれている
パーソナリティー:泉田良輔プロフィール

株式会社モニクル
取締役 グループ戦略担当
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
慶応義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年3月、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、取締役に就任(現在は代表取締役)。2018年11月、株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任。2021年10月、ナビゲータープラットフォームとOneMile Partnersの親会社として、株式会社モニクルを設立し、取締役に就任。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京科学大学大学院非常勤講師。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」など。