音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第8回の「今日から始めるパーソナルファイナンス!固定費と変動費をチェックしてみよう」でお話した内容を記事としてお届けします。
資産形成を始めるにあたって、「自分が毎月使える金額」を把握するためのステップをお話ししていきましょう。第5話にも出てきた「可処分所得」という言葉を覚えていますか?
その通りです。その手取り収入をどう使うのか考えていきます。まずは毎月の支出を、大きく「固定費」と「変動費」に分けて考えてみましょう。
「固定費」は、家賃や光熱費、スマホやWi-Fiの通信費など、毎月ほぼ一定額で支払う費用のことです。最近は動画配信サービスや音楽サブスクリプション(サブスク)などの定額サービスも固定費に含まれることが多いですね。
外食を含む食費、娯楽費や交際費、医療費など、毎月金額が変わる支出は「変動費」に分類されます。
実はその通りで、「これが固定費」という明確な答えはないというのが結論です。みなさんのライフスタイルによって分類が変わるので、ざっくりと自分の毎月の支出を「固定費」「変動費」という概念で分けてみてください。
最初に見直してほしいのは「固定費」です。変動費はまさに変動する費用なので自分で調整しやすいですが、固定費は見直す機会が少なく、無意識のうちに支払い続けていることが多いためです。
例えば、通信費を格安キャリアに変更したり、使っていないサブスクのサービスを解約することで、意外と大きく削減できることがあります。保険も定期的に見直すと節約につながりますよ。
自分のライフスタイルやライフステージによって必要な保険も変わるはずなので、定期的に見直すのがおすすめです。
そうなんです。固定費を見直すことは、無理なく支出を減らせるポイントです。
資産形成では、余ったお金を貯めるのではなく、最初に「資産形成に回すお金」を決めることが大切です。将来自分でどれくらいの資金を用意したいかで毎月の資産形成に回すべき金額が決まるからです。
毎月の手取り収入から固定費を差し引き、その中から資産形成に使う金額を先に確保するイメージですね。
はい。さまざまな金融商品がありますが、どの金融商品で資産形成を始めるのかを決め切れていないのであれば、預貯金も金融商品のひとつですので、「〇〇円を貯金しよう」というのも立派な資産形成の一つです。
また、企業の福利厚生として「企業型確定拠出年金(企業DC)」がある場合は、給与から天引きされるので無理なく資産形成を続けられますね。
企業型確定拠出年金は、現在掛金の上限が議論されている最中なのですが、企業側が一定金額を上限として掛金を負担してくれる制度です。
全額企業負担の場合もあれば、一部企業負担で上限まで自分の給与から掛金を支払うこともできます。その場合、掛金は所得控除の対象となり、税制優遇が受けられるメリットがあります。
積み立て金と掛金の意味は概ね同じなのですが、拠出年金は年金制度の一部なので、掛金といいます。公的年金の場合も掛金ですね。
また、民間の保険に加入している場合は、毎月の保険料を「掛金」といいます。保険料は定額の支払いなので「固定費」に該当しますね。
「企業型確定拠出年金」は、この制度を導入している企業の従業員などが加入します。
iDeCoは「個人型確定拠出年金」といい、名前の通り個人で加入する制度です。
先ほどお話ししたように、資産形成に使うお金は「固定費」と考えて毎月確保するのがおすすめです。さらに、使い道に合わせてお金を分けておくことも大切ですね。
企業年金は老後の資産形成に限られますので、新NISAなどを含め、どのような金融商品があるのかについては別の回でお話したいと思います。
ポイントは、どのような制度を使って、どのような金融商品や個人年金を選んで自分の資産を作っていくかを考えることです。
手取り収入を「固定費」「変動費」「預貯金」「老後のための資産形成」「老後以外の資産形成」という項目で考えると分かりやすいと思います。
年金はすぐに取り出せませんし、金融商品によってはすぐに現金化できないものもあります。預貯金であればすぐに換金できますが、このことを「資産の流動性」といいます。
目的に応じて、お金を分けて運用・使用することが大切ですね。