出資の決め手は”コロナ禍での迅速なDX化”【シリーズB資金調達特集vol.2】
ジャフコ グループ株式会社×株式会社モニクル
「自由な発想で、くらしとお金の新しい価値を創造する」ことを目指し、日本の金融サービスのあり方を再定義したい、という大きな目標を掲げる株式会社モニクル。この度、2023年9月6日に、シリーズBラウンドで総額約13億円を調達したことを発表いたしました。(モニクルコーポレートサイトでのお知らせはこちら)
今回調達した資金を活用し、お客様の多様なニーズに対応できるサービスをさらに拡充し、「誰もがお金に関する正しい意思決定」ができる社会を目指し、進んでまいります。
モニクルプラスでは、シリーズBの資金調達の発表に合わせて、本ラウンドで引受先になっていただいたベンチャーキャピタル(VC)やコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)、ならびに事業会社の投資家の皆様と、モニクルの代表取締役CEO原田慎司との対談をシリーズでお届けしています。
第2回目となる今回は、ジャフコ グループ株式会社のチーフキャピタリストである小沼晴義氏とシニアアソシエイトの加藤僚佑氏と原田の対談の様子をお届けします。
ジャフコ グループ株式会社
パートナー
小沼 晴義 Haruyoshi Onuma
ジャフコグループ株式会社のベンチャーキャピタル部門でスタートアップへの投資活動に従事。2024年4月パートナーに就任。主な投資領域はFintech、SaaS、Market place、Robotics、Age Tech。株式会社マネーフォワード、Chatwork株式会社(現 株式会社kubell)、Finatextホールディングスなどに投資し、関与した投資先のIPOは22社、M&Aは10社。Forbes JAPANが選ぶ「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング2023」で4位。2021年10月、株式会社モニクル社外取締役に就任。
ジャフコ グループ株式会社
シニアアソシエイト
加藤 僚佑 Ryosuke Kato
2019年入社。一橋大学商学部卒業。投資部にて、主にシード・アーリーステージのスタートアップ企業への投資、投資先支援に従事。新卒採用担当も兼務。
小沼氏と加藤氏のこれまでの歩み
原田:あらためまして、今日はよろしくお願いいたします。まず、お二人の経歴を簡単に教えてください。
小沼:1992年に新卒で日本合同ファイナンス株式会社(現在のジャフコ グループ株式会社)に入社してから、31年半の間スタートアップへの投資活動をしてきました。
原田:当時、まだまだベンチャーキャピタル(VC)への就職は一般的ではなかったと思いますが、なぜVCに入社を決められたんですか?
小沼:大学生の時にVCの存在を知って調べたのですが、当時はまだ弊社を含めて4社ぐらいしか就職情報誌に掲載されていなかったんですよね。成長性豊かなベンチャー企業を「出資」という形で支援し、その企業が成功した時にその対価を得ることができる、ある意味リスクを取って出資をするところに魅力を感じました。
原田:入社されてから、どのような仕事をされていたんですか?
小沼:最初の6年間は仙台で、主にスタートアップへの投資を行っていました。流通業、外食業や小売り業、あとはコンピューターグラフィックスを扱う会社などに投資活動を行いました。
1998年5月からは東京に異動して、それ以降はインターネットサービスや半導体を担当しました。そして直近10年ぐらいだとSaaS(サース)やFintech(フィンテック)、ロボティクス、マーケットプレイスなどを扱う企業様を担当していますね。
原田:加藤さんはなぜVCの道に進まれたんですか?
加藤:私は大学時代にコーポレートファイナンスを勉強していて、元々投資に興味がありました。最初はM&Aアドバイザーなどファンドビジネスに関われる仕事を考えましたが、就職活動をする時期に友達がVCで学生インターンをしていると聞いて、興味を持ちました。
同じ投資でも、スタートアップへの投資は日々新しいものに触れる面白さがありますし、今後の日本を作っていく点で大義があるなと思ったんです。新卒としてはなかなかハードな環境ではありますが、チャレンジしようと思って、今の仕事を選びました。
原田:加藤さんはどのような企業をご担当されているんですか?
加藤:主にフィンテックやモバイル、AI/データアナリティクス、マーケットプレイスなどです。
原田:お二人はまさに相棒という感じの印象がありますが、御社では案件ごとに担当者が変わるんでしょうか。
加藤:実はまわりからも相性がいいよねって言われていますね(笑)。何社か一緒に担当させてもらっています。
小沼:私たちは案件ごとに担当者が紐づいています。案件によって、担当者の数も1人~3人まで違っていて、担当者も変わりますね。
モニクルとの出会い 「金融商品に対する考え方にハッとした」
原田:小沼さんと最初にお会いしたのは2020年の3月でしたよね。
小沼:そうですね。当時、マネイロのサービスについて、「店舗展開を全国でやっていきます」という状況だったと思います。当初は店舗型の新しい金融サービスをされているという理解でした。
原田:それからコロナの影響で緊急事態宣言が出て、対面営業をすることができなくなってしまい、店舗の全国展開が難しくなりました。それをきっかけにオンライン化に向けて動いたので、小沼さんと最初にお会いしたときのビジネスモデルからは大きく変わりましたよね。
小沼:そうですね。ただ、コロナ前から世の中で新しい金融サービスが必要とされているなという感覚はありました。銀行の窓口などの対面サービスとオンラインサービスの2択だけでは完結できない時代になってくるだろうなと。そういう意味では、コロナ禍でオンライン化へ舵を切ったワンマイルパートナーズ(現:モニクルフィナンシャル)のビジネスには、より一層興味を持ちましたね。
原田:そうだったんですね。
小沼:もちろん、コロナ禍は御社の事業にとっては災難ではあったと思いますが、新しいビジネスの形を作ることにつながったのではないかと思っています。一歩進化したサービスが提供できる会社になるんじゃないかなという期待感がありました。
現在、証券や保険を中心にさまざまな金融商品があり、それを提供する金融サービスが存在してます。その多くのサービスの中で、あくまでもお客様に最適な商品をそれぞれの運用方針や将来の資産設計に応じてご提案されるところが、非常に新しいスタイルだと思いました。投資と保障のバランスを重視する観点が新しいなと。金融商品に対するモニクルさんの考え方には、ハッとさせられるものがありました。
出資の決め手は”コロナ禍での迅速なDX化”
原田:最終的に出資する決め手になったことはありますか?
小沼:コロナ禍での素早い対応を拝見できたことは大きかったですね。4月~5月にかけて、当初は対面で進めるはずだったサービスを素早くオンラインに切り替えられていて、それでさらに市場から求められるものになった点は非常に評価できるなと感じました。
原田:たしかに、すでに2020年6月頃にはオンラインサービスとして業績も出るようになっていましたね。デジタルで集客して、最後まで面談もオンラインで行えるところを評価していただいたということでしょうか。
小沼:お金について相談したい方が金融機関の窓口にいって相談するのはそもそもハードルが高いですし、コールセンターで相談するのは、顔が見えない相手に相談する点で関係構築が難しいですよね。一方で、オンライン証券含めて、ネットでの商品を購入できる場はあっても、自ら理解ができなければ、意思決定できません。
そんな中で、オンラインで気軽にプロの方に相談できるというところが、一つの新しいサービスの在り方だと思いました。そこへの集客から、顧客対応、ファイナンシャルアドバイザーへのサポートについて、きちんとテックがベースとしてあるところも素晴らしいと思いました。
原田:当時、本当に自分たちも必死で、走りながらやっていた感じだったので、小沼さんと出会った時は一番DX化がすごいスピードで進んでいた時でしたね。当時は、とにかくやらざるを得なかったので(笑)。
小沼:当時に比べて一旦コロナは収束しましたが、このDX化した流れが逆流することはもうないなという感じがしますよね。
原田:そうですね。金融サービスをしている企業は他にもありますが、弊社のどのようなところを魅力的に感じていただけたのでしょうか?
小沼:例えば店舗展開をするのであれば、多額の資金の調達を必要とするビジネスですので、そこの資金効率と採算性と収益性が重要になってきます。ただ、店舗を必要とせずにオンラインで顧客対応ができるところでは、より進化したサービスになったと思いますし、他社にはない部分の一つになったと思います。金融サービスの業態の会社としては、全く店舗を必要とせずに、人を介したサービスを行っている点では、初めてに近いのではないでしょうか。
また、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)はメディアとしての事業も確立されているので、そういうご経験がコンテンツマーケティングやオンラインでの集客につながっている面はあるんだろうなと思いました。
未来に向けてモニクルに期待すること
原田:小沼さんは弊社の社外取締役も務めてくださり、この3年間ずっと私たちの事業の成長を見守ってくださっていました。3年間ご覧になってきて、私を含め取締役の印象はいかがですか?
小沼:そうですね。原田さんとお会いした当初、過去のキャリア(証券アナリスト、投資銀行業務)からは、あまり想像がついていなかったのですが、採用や組織運営など、HR系のマネジメントに長けた方なんだなという印象があります。金融のプロでありながら、マネジメントにおいてもしっかりと舵取りをされているんだなと、お付き合いをしてきたこの3年間で実感していますね。
また、コロナ禍でビジネス形態を大きく変えられたところは、シンプルにすごいなと思っています。短期間でせっかく作り上げたビジネスモデルを変えるというのはそんなに簡単な話ではありません。その中で成し遂げられたところはすごいなと。おそらく、常に課題を見つけてそこを細かく改善していくことをたくさんされているんだと想像しています。
原田:ありがとうございます。出資されたことによって、今後弊社に対してどのようなことを期待していただいていますか?
加藤:まだ事業開始から年数がそこまで経過していないので、まずは新規のお客様を増やしていくフェーズだと理解しています。ただ、ある程度の年数が経過すると、お客様のライフステージも変わるでしょうから、それに合わせてずっと将来にわたっても、お客様を支え続けられる金融サービスになっていってほしいなと思っています。
オンラインだからこその敷居の低さを生かして、継続的にお客様とのタッチポイントを持ち続けられるのが御社の強みだと思いますし、御社が目指すところなのかなと思っています。現在のお客様の層から、一段階広げていくところは中長期的に期待しているところですね。
小沼:あとは、ストレートな希望にはなりますが、売上と利益を上げていただけるとうれしいです!
原田:それはもちろん、頑張らせていただきます!
小沼:期待しております(笑)。
原田:本日はありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
加藤:こちらこそ、ありがとうございました。
小沼:ありがとうございました。