音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第42回の「保険商品 #4 保険商品を知ろう!④第三分野保険って?定額保険と終身保険の違い、共済とは?【第42話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
時代の流れとともに保険商品はいろいろと変化していますが、第三分野の保険もまた、新しい商品が次々と開発されている分野です。
第三分野の保険商品は、生命保険会社(第一分野)と損害保険会社(第二分野)のどちらでも販売できる商品です。最近では規制緩和が進み、その区分は厳密ではなくなってきました。そのため、保険を選ぶ側としては、あまり意識しなくなってきているのが現状です。
また、保険は必ずしも保険会社が直接販売するとは限らず、保険代理店の存在感が増しています。複数の保険会社の商品を扱う代理店は「乗合型」と呼ばれています。
生命保険・損害保険・第三分野の保険を一箇所で選べる環境になり、契約者にとってはますます便利になっていますね。
ちなみに、日本で保険業を行うには内閣総理大臣の免許が必要で、金融庁が監督しています。この点は「保険業法」に定められていて、簡単に参入できないように規制することで保険の信頼性を担保しています。
以下の保険が第三分野に該当します。
- 医療保険
- がん保険
- 介護保険
- 傷害保険
- 就業不能保険 など
その通りです。第三分野の保険は、病気やケガによる入院や手術など、生活の中で保障が必要になる場面で給付金が支払われる商品です。
医療保険は、基本的に入院や手術にかかる費用が保障対象となります。さらに「先進医療」や「がん」などの追加保障を、特約(オプション)として付けることもできます。
はい、特定の疾病に特化した保険商品です。三大疾病とは「がん」「心疾患」「脳血管疾患」を指します。
ただ、こうした保険は誰でも加入できるわけではありません。持病があったり、過去に病気を経験した場合は、保険に加入しづらくなることがあります。
持病のある方などを対象とした「引受緩和型保険」という商品もあります。保険料は高くなる傾向があり、必ず加入できるわけではないのですが。
そして、介護保険は、自分の介護に備えるための保険です。最近では高齢層まで加入できる商品も増えていて、親の介護対策として検討できる場合もあります。原則として親御さん本人が加入する必要がありますが、契約者と被保険者を分けられる商品もあります。この場合は、子どもが契約者となり、親を被保険者に設定できます。
はい。保険も一つの商品ですから、ニーズに合わせて新しいものが次々と登場しています。
私自身も、保険商品の見直しを何度か行う中で、「新しい商品が出てきた」「こちらの方がより良い」と感じることがあります。
例えば「就業不能保険」は、以前はあまり一般的ではありませんでしたが、いまではよく見かけるようになりました。これは、病気やケガなどで働けなくなった場合に備えるための保険です。
医療保険が入院費用などに対応するのに対し、就業不能保険は定期的な収入の一部を保険金でカバーしてくれます。退院後すぐに復職できない場合でも、就業不能保険に加入していれば、契約時に定めた金額を給与のように定期的に受け取ることができます。
もちろん、誰でも加入できるわけではなく審査がありますが、気になる方は保険会社や代理店に相談してみると良いでしょう。
また、民間保険だけでなく、健康保険にも「傷病手当金」や公的保険に「高額療養費制度」など一定の保障がありますので、その点もふまえて検討することをおすすめします。
公的保障で十分と感じる方もいれば、追加で民間保険を検討する方もいます。最終的には、個々の状況に応じた判断が必要です。
一般的に、終身保険は保険料が高く、定期保険は安い傾向にあります。定期保険は保険期間が限定されるため保険料を安く抑えられますが、解約返戻金や満期保険金はほとんどありません。若い世代でこれから結婚や子育てを考える方や、費用を抑えたい方に向いています。
一方、終身保険は一生涯保障が続き、満期の概念がないため満期保険金はありません。ですが、契約後の期間によっては解約返戻金を受け取れる場合があります。
終身保険は、自分で解約して解約返戻金を受け取ることもできますし、被保険者が亡くなった場合には、遺族などの受取人が死亡保険金を受け取ることもできます。また、高度障害を負った場合には、「高度障害保険金」として給付されることもあります。
保険会社には「相互会社」という形態があります。これは、保険会社にのみ認められている業態です。
相互会社は、「保険の契約者が会社の構成員である」という考え方をしています。株式会社では利益が株主に配当されますが、相互会社では契約者に配当される場合があります。
配当は、事業費が想定より抑えられたり、運用が順調に行われた場合に支払われますが、保険商品によっては、あるものとないものがあります。毎年ではなく、3年ごとなど一定の期間ごとに配当される商品もあります。
また、株式会社の形態で運営している保険会社もあり、どちらの形態を選ぶかは会社によって異なります。
共済も保険も、契約者から見ると提供されるサービスは大きく変わりません。
代表的なものに「火災共済」「生命共済」「自動車共済」「傷害共済」「年金共済」などがあります。これらを保険に置き換えて考えると、おおよそのイメージがつかめると思います。
共済は、株式会社などの会社ではなく「組合」が運営します。例えば、農業協同組合が運営する「JA共済」や、生活協同組合が運営する「都道府県民共済グループ」などがあります。
そうですね。協同組合は、株式会社と違い営利団体ではありません。組合員向けのサービスで、各団体の組合員であれば加入できます。保険と併用することも可能です。
共済はラインナップがシンプルで、掛け金が一律である場合が多く、営利団体ではないため費用が抑えられる傾向があります。公的保険と共済で十分と考える人もいるでしょう。
よくありがちなケースとして、若い頃に保険に加入し、そのまま放置してしまうことがあります。これはもったいないので、ぜひ定期的に加入保険を見直してみてください。これまでの内容を理解したうえで相談に行けば、自分のニーズを把握しやすく、担当者の説明も理解しやすくなるはずです。