音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第37回の「資産形成商品#8 株式を知ろう!②TOPIX、日経平均、NYダウなどのインデックスって、どうやって算出されているの?【第37話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
以前、それぞれのインデックスについて概要を説明しましたが、今日は「算出方法」を軸に解説していきます。
インデックスの算出方法は、主に2種類あります。
まず「株価平均型」ですが、その名の通り「構成銘柄の株価の平均」を指します。インデックスを構成している銘柄の株価の合計を、除数と呼ばれる特定の数値で割って算出します。
日本の株価平均型の代表例である「日経平均株価(日経225)」は、東証プライムに上場している225銘柄の株価の平均値です。
イメージとしてはそれで問題ありません。単純に足して株数で割ると、極端に株価が高い銘柄の影響を受けた価格が算出されてしまいます。それを避けるために、各銘柄の株価に「株価換算係数」という数値が設定されています。
また、銘柄の入れ替えがあったり、インデックスを構成している企業の株価が、市場変動以外の理由で下がったときの影響を調整するために「除数」という数値が設けられています。
「NYダウ」も考え方はほぼ同じで、30社の株価の平均値です。
株価の平均値なので、日経平均は単位が「円」で、NYダウは「ドル」で発表されます。
日経平均の構成銘柄は、毎年4月と10月に見直し時期が設定されています。東京証券取引所プライム市場に上場している銘柄の中から、225銘柄を日本経済新聞社が選定し、その株価で算出されます。企業の業種分類のことを「セクター」といいますが、そのバランスも意識しながら選定されています。
その通りです。日経平均とTOPIX、また海外のインデックスが扱うセクターは、分類方法が若干異なります。例えば、世界株式だと「エネルギー」「金融」などのようにカテゴリが幅広いのに対し、TOPIXや日経平均は「銀行業」「保険業」と細かく分かれています。
株価平均型のインデックスは「平均値」なので、「値がさ株」と呼ばれる株価水準が高い銘柄の値動きの影響を受けやすいです。一部銘柄の値動きを追った指数ということです。日経平均もNYダウも同様の特徴があります。
その通りです。まず、算出方法から説明します。これはTOPIXに限らず、S&P500など、時価総額加重型のインデックスであれば共通の考え方です。
時価総額加重型というと難しそうですが、計算は複雑ではありません。
まず、インデックスを構成する銘柄の「時価総額の合計」をもとに算出します。時価総額は、その会社が発行している株式の数と、株価を掛けたものです。
そして、各インデックスの対象銘柄の時価総額を、「基準時点での時価総額」で割ります。
TOPIXの場合は、1968年1月4日の時価総額を基準としています。これを「100ポイント」とします。「その日の時価総額の合計」を「1968年1月4日の時価総額」で割り、さらに100を掛けて計算します。
「基準時の値に対して、時価総額がどれくらい変動したか」を見るのが、時価総額加重型の株価指数の特徴です。「増減」を見るので、単位は円やドルなどの通貨ではなく「ポイント」になります。
そうですね。各インデックスの構成銘柄についてもお話ししておくと、TOPIXは、2025年4月末時点で約1,690銘柄で構成されています。ほぼプライム市場の銘柄が占めています。
日経平均と比べて銘柄数が多いことと、時価総額で計算している点から、日本の株式市場全体の値動きを反映している指標になっており、ベンチマークとしても用いられます。
時価総額で見るため、「時価総額の大きい銘柄(大型株)」の値動きに影響を受けやすくなります。株式市場全体の傾向を把握したい場合、日経平均よりもTOPIXの方がより正確なインデックスだといえます。
日経平均は、「日本を代表する225社」の株価の平均値です。「日本経済において影響が大きい企業の株価の値動き」が分かります。TOPIXと比べると、大企業に偏っているイメージです。
そうですね。TOPIXは基準値に対する「比率」ですが、日経平均は「円」で把握できるので分かりやすいと思います。
アクティブファンドを運営するファンドマネージャーは、TOPIXやS&P500など、時価総額加重型の指標と比較して、自分が運営しているファンドの成績をチェックします。株式市場の状況をより正確に反映する指標だからです。そのあたりがTOPIXやS&P500などが「ベンチマーク」といわれる理由でもあります。
その通りです。「S&P500」は500銘柄で構成されていて、大型株が中心です。アップルやエヌビディアなどが含まれます。
「NASDAQ」は、NASDAQ市場に上場しているすべての銘柄が対象です。新興企業の成長株の値動きが見える指標です。
「MSCI ACWI(オルカン)」と「S&P500」の、どちらのインデックスにも連動している投資信託を持っている場合は注意が必要です。MSCIのオルカンの約6割は米国株式で、S&P500と投資先がほぼ重なります。つまり、「資産の分散」が十分にできていない状態です。
はい。ただし、MSCIのオルカンは米国だけではないので、投資先は広めです。このあたりを知っておくと、「分散投資をするために別のインデックスにしよう」と考える軸ができると思います。
インデックスの計算方法から話が始まりましたが、どのような性格のインデックスなのかを知ることは、相場の傾向をつかむためにとても役立ちます。ぜひ覚えてみてください。