音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第33回の「金融分野共通#19 iDeCo制度を知ろう!①新NISAとの違いは?元本確保型って何?スイッチングとは【第33話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
新NISAの正式名称は「少額投資非課税制度」、iDeCoは「個人型確定拠出年金」といいます。
共通点として、どちらも「運用益が非課税」という特徴があります。
「新NISAとiDeCoはどちらが自分に合っているのか分からない」という方もいるかもしれません。目的や年齢によっても変わりますので、さっそく制度を比較してみましょう。
そこがこの2つの制度の大きな違いですね。iDeCoは非課税枠のある投資制度ですが「年金制度」でもあります。個人が投資によって年金の準備ができるように設計されているので、投資した資金や運用益は、原則として60歳まで引き出せません。
iDeCoは、「確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度」で、公的年金ではなく「私的年金」にあたります。つまりやってもやらなくてもよく、自分の判断で決められます。
はい。「国民年金」は、20歳以上のすべての人が加入する年金です。
「厚生年金保険」は、企業などに勤めている人が加入する年金です。勤務時間などの条件を満たせば、パートやアルバイトの方も自動的に加入することになります。
公的年金は条件を満たすと加入が必須ですが、iDeCoは私的年金なので、年金制度を使うかどうかは個人の自由です。
iDeCoは、公式ページに記載されているように、自分で運用する年金制度です。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
資産運用の観点で考えると「投資する」ということです。毎月、一定の金額を積み立てて自分の年金を準備する、要は「つみたて投資」です。
その通りです。ただ、iDeCoと新NISAは、投資の細かい条件は異なり、対象となる金融商品も違います。ですが、仕組みとしては同じような方法で資産を作るのだと理解してください。
そうですね。iDeCoも金融商品を使っての積立投資なので、基本的な考え方は同じです。複利の効果を得られる点も共通しています。また、iDeCoも投資信託がメインの商品ですので、その点も同じです。
その通りです。ただ、運用商品において新NISAとiDeCoには、大きな違いがあります。
iDeCoの金融商品には、大きく分けると「元本確保型」と「価格変動型」があります。新NISAとの違いは分かりますか?
その通りです。iDeCoの「元本確保型」の商品とは、具体的には「定期預金」や「保険」です。「価格変動型」は、投資信託ですね。新NISAの成長投資枠で購入できる上場株式(ETF)は含まれません。
銀行で定期預金をした場合は税金の優遇制度がありません。iDeCoだと掛け金を所得控除の対象にできます。
はい。ただ、運用に手数料がかかりますし、iDeCoの保険も同じですが「元本確保型」は、運用益が価格変動型よりも小さくなる傾向があります。その一方で、元本割れする可能性は低いというメリットがあります。
そのあたりを含めて、どれくらいメリットがあるかを考えながら運用すると良いでしょう。
元本確保型は「安全性」が高めで、「収益性」が低くなります。
また、iDeCoの制度として、60歳になるまで引き出せないので「流動性」も低めです。これは、元本確保型に限らず、iDeCo制度そのものにあてはまる特徴です。流動性は新NISAの方が優れています。
はい。人生の三大資金でいうと「住宅資金」や「教育資金」には、iDeCoは不向きです。ただ、冒頭でお話ししたように年金制度の一部なので「老後資金」の準備には適した制度として設計されていますね。
保険商品には、「資産運用ができる保険」と「そうではない保険」があります。iDeCoでは「年金の準備」を目的とした資産運用型の保険商品を選ぶことができます。
生命保険でいうと個人年金保険のようなイメージで、保障性よりも貯蓄性に重点が置かれた商品となっています。
スイッチングとは「商品の付け替え」のことです。あまり運用益が出なくていために売りたい商品がある場合に、iDeCoなら売却してすぐに他の商品を購入できます。元本確保型の商品も含めて、iDeCoの運用枠の中でタイムリーに商品の入れ替えができます。
新NISAは、売却した分の投資枠を再利用できるのは翌年で、その年のうちには使えません。現在の新NISAが、時に機会損失になると言われるのはこのためで、スイッチング機能がないことが原因です。
今日は、iDeCoと新NISAの違いを資産運用の観点から学びました。iDeCoの詳細や年金制度との違いについては、次回詳しく話していきます。