音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第13回の「確定申告が必要なのは誰?個人事業主、副業をしている会社員、控除を受けたい人、所得の種類が複数ある人など」でお話した内容を記事としてお届けします。
個人事業主で一定以上の事業収入がある方はもちろん、実は年末調整をしている給与所得者でも確定申告をしなくてはいけない場合があります。
最近では副業を始める方も増え、不動産の運用などをされている方もいると思います。そうした方が確定申告の対象となるのか、確認していきましょう。
全ての所得が基礎控除額の48万円以下なら、確定申告は不要です。これは、納税者本人の所得が2400万円以下の場合に適用される控除額が48万円だからです。事業所得、給与所得、利子所得など、10種類の所得をすべて合算して48万円以下であれば、課税所得がゼロとなるため、所得税は発生しません。
ただし、所得税がかからなくても、住民税は課税される可能性があるため注意が必要です。
確定申告が必要かどうか、また、した方がよいかどうかの判断は、働き方や収入の受け取り方によって変わります。
所得の種類もさまざまで、個人事業主では「事業所得」と「雑所得」、会社員では「給与所得」と「雑所得」が考えられます。また、年金の受給状況なども影響します。すべてのパターンを網羅するのは難しいため、今回は基本的な考え方についてお話しします。
【参考】所得税法での所得の10種類
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
出所:国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」
そうですね。自分が該当するかどうか気になる方は、国税庁のホームページなどを確認したり、お近くの税務署に相談すると正確に判断できます。税務署は、住んでいる地域で管轄が異なるため、国税庁のホームページで確認してみてください。
個人事業主は事業所得がメインの方が多いですが、人によっては複数の所得が組み合わさることもあります。また、先ほどもお伝えした通り、全ての所得が48万円以下の場合、基本的には確定申告は必要ありません。
また、青色申告を活用して「青色申告特別控除」を活用すると、条件を満たせば「65万」「55万」「10万」の控除が受けられる可能性があります。
会社員で確定申告が必要となるのは、主に以下のケースです。
そうです。同じ仕事内容でも契約形態によって、パートなら「給与所得」、業務委託なら「雑所得」となります。例えば、正社員とパートを掛け持ちしている場合、どちらも「給与所得」です。
また、現時点では副業としての「雑所得」でも、規模が大きくなれば独立して「事業所得」となる可能性もあります。
ちなみに、「雑所得」は、他のカテゴリに含まれない所得が該当します。例えば、原稿料や講演料、公的年金による所得も「雑所得」にあたります。また、投資関係でしたら、FXによる所得も「雑所得」ですね。
例えば、マンションを所有して家賃収入を得ている場合、その所得は「不動産所得」となり、確定申告が必要となる可能性が高いです。家賃収入というと年間で20万円以上になることが多いですから。
個人事業主でも会社員でも、副業かどうかに関わらず、不動産に関する所得は「不動産所得」になります。
マンションを所有していて、家賃収入があるという場合、以下のように整理できます。
所得控除には以下の15種類がありますが、特に該当する可能性が高いのは「医療費控除」「雑損控除」「寄付金控除」です。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
出所:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
「医療費控除」は、年間で医療機関に支払った金額が対象となります。また、医療費控除と併用はできないのですが、「セルフメディケーション税制」といって、市販薬の購入金額が、1万2000円(税込み)を超えたら控除の対象となる制度もあります。
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進及び疾病の予防として、一定の取り組みを行っている方が、その年中に自身または生計を一緒にする配偶者その他の親族のために1万2000円を超える対象医薬品を購入した場合に、控除を受けることができる制度です。
生計が同じ人が対象になりますので、一緒に住んでいる家族が購入した医薬品も合わせた金額ですね。この控除を受ける場合には、医療費控除を受けることはできませんので、注意が必要です。
「雑損控除」は、適用される状況がないことが望ましいですが、地震などの災害の被害を受けた際に適用される控除です。
「寄付金控除」でよく知られているのはふるさと納税です。クラウドファンディングでも対象になることがありますので、「寄付金控除対象」という記載があるかどうかを調べてみてください。
ちなみに給与所得者で年末調整をした人も、年末調整し忘れた控除は、確定申告で申請することができます。
また、給与所得者の方でも確定申告が必要な控除がもうひとつあり、それが「初年度の住宅ローン控除」です。2年目からは会社に申請すれば、まとめて年末調整をしてもらえます。
そうですね。すぐに確定申告の知識が必要ではない方も、将来的に役立つ場合があるかもしれません。必要となったタイミングでこのPodcastを思い出してもらえたらうれしいですね。