家計管理 #3 給与明細には情報がたくさん!住民税、所得税とはどう違う?【第7話】
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はじめに
音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第7回の「給与明細には情報がたくさんー住民税」でお話した内容を記事としてお届けします。
住民税とは?仕組みと役割を解説
今日のテーマは「住民税」です。
住民税について説明する上で、所得税との違いがポイントになってきます。どちらも給与から天引きされる税金ですが、実は大きな違いが1つあります。
どう違うのでしょうか?
所得税は国に納める「国税」、住民税は都道府県と市町村に納める「地方税」なんです。つまり、納める先が異なります。
住民税は、1月1日時点で居住している市町村と都道府県に納めるルールになっています。個人が支払う住民税は「個人住民税」と呼ばれています。企業が支払う「法人住民税」もありますが、今回は、私たちに身近な個人住民税について解説します。

そもそも、住民税とはどのような税金なのでしょうか。
住民税は、消防や救急、学校教育、ごみ処理などの公共サービスを支えるために住民が負担する税金です。給与から控除され、一括で勤務先から市町村に納税され、その後都道府県に納められます。給与明細では「道府県民税」と記載されることが多いです。
東京都の場合はどうなるのでしょうか。
東京都では、「道府県民税」ではなく「都民税」と呼びます。東京23区では「市町村民税」の代わりに「特別区民税」という名称が使われますが、いずれも制度としては同じものです。
住民税は「均等割」と「所得割」の合計で決まる
住民税の金額と税率は、どのように決まるのでしょうか。
住民税は、所得に関係なく一律の「均等割」と、所得に応じた「所得割」(基本税率10%)の2種類があります。給与から控除される住民税は、この2つを合算した金額です。
自治体によって住民税が高い場合もあると聞いたことがあります。
均等割や所得割の税率は決まっているのですが、自治体によって若干の差が生じることがあります。

それでは、1つずつ見ていきたいと思いますが、まず「均等割」とは何でしょうか。
均等割は、所得に関係なく全員が一定額を支払う税金です。2024年6月からは「森林環境税」が加わり、標準額が5000円となりました。
「所得割」は名前の通り、所得に応じて決まるのですね。
はい。前回、所得税の話で登場した「課税所得金額」に連動して決まります。
所得税と住民税の控除の違いとは
所得税の「所得控除」と、住民税の「所得控除」は、同じ内容でしょうか。
項目はほぼ同じですが、控除額が異なります。所得税と住民税の両方で控除の枠が使えますが、控除の上限額があるため注意が必要です。
また、資産形成の観点でお話をすると、iDeCoなどの確定拠出年金制度を活用すると、拠出額が全額所得控除の対象となります。

「税額控除」は、所得税と同じようなものなのでしょうか?
税額控除には、所得税・住民税のいずれにも「住宅ローン控除」など共通するものもありますが、大きな違いは「寄付金控除」の扱いです。例えば、ふるさと納税などの寄付金控除は、所得税では「所得控除」、住民税では、「税額控除」として扱われます。
税額控除は、所得税と住民税それぞれに控除枠が設定されています。例えば、住宅ローン控除では、所得税で控除しきれなかった金額を住民税で控除することができます。一方で、住民税で控除できる金額には上限があり、他の控除との兼ね合いもあるため、事前の確認が重要です。
会社員と自営業で異なる住民税の納付方法
住民税は、毎年5月から6月に、居住地の市区町村から通知書が届きます。会社員の場合は会社経由で配布されますね。
この通知書は「特別徴収税額通知書」と呼ばれています。住民税の支払い方法には「特別徴収」と「普通徴収」がありますが、給与からの天引きは特別徴収です。
給与を支払う事業者には、従業員の給与から所得税と住民税を天引きして納付する義務があります。所得税は「源泉徴収義務」、住民税は「特別徴収義務」と呼ばれています。
普通徴収はどのようなケースで適用されるのでしょうか。
自営業やフリーランスの方など、給与所得ではない方が該当します。また、給与所得者でも副業をしている場合、副業の所得税や住民税は確定申告を経て普通徴収で納めることになります。
確定申告については、また別の回で詳しく取り上げたいと思います。
第7話のまとめ
- 住民税は「均等割」と「所得割」の合計で決まる。
- 「均等割」は一律の金額、「所得割」は所得額に応じて決まる。
- 所得税、住民税ともに、「所得控除」と「税額控除」が適用される。
- 所得税はその年の所得、住民税は前年の所得に基づいて計算される。
- 住民税の金額は、毎年6月に更新される。
- 納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類がある。
パーソナリティー:泉田良輔プロフィール

株式会社モニクル
取締役 グループ戦略担当
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
慶応義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年3月、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、取締役に就任(現在は代表取締役)。2018年11月、株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任。2021年10月、ナビゲータープラットフォームとOneMile Partnersの親会社として、株式会社モニクルを設立し、取締役に就任。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京科学大学大学院非常勤講師。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」など。