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金融分野共通#5 確定申告が必要なのは誰?個人事業主、副業している会社員、控除を受けたい人、所得の種類が複数ある人など【第13話】

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ポッドキャストを聴く(金融分野共通#5 確定申告が必要なのは誰?個人事業主、副業をしている会社員、控除を受けたい人、所得の種類が複数ある人など【第13話】)

はじめに

音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。

今回は、第13回の「確定申告が必要なのは誰?個人事業主、副業をしている会社員、控除を受けたい人、所得の種類が複数ある人など」でお話した内容を記事としてお届けします。

確定申告の基本をおさらい

今日のテーマは「確定申告」です。

個人事業主で一定以上の事業収入がある方はもちろん、実は年末調整をしている給与所得者でも確定申告をしなくてはいけない場合があります。

最近では副業を始める方も増え、不動産の運用などをされている方もいると思います。そうした方が確定申告の対象となるのか、確認していきましょう。

はじめに、確定申告の考え方について教えてください。

全ての所得が基礎控除額の48万円以下なら、確定申告は不要です。これは、納税者本人の所得が2400万円以下の場合に適用される控除額が48万円だからです。事業所得、給与所得、利子所得など、10種類の所得をすべて合算して48万円以下であれば、課税所得がゼロとなるため、所得税は発生しません。

ただし、所得税がかからなくても、住民税は課税される可能性があるため注意が必要です。

所得税」「住民税」の回で、控除枠がそれぞれ異なることについてお話がありましたね。

確定申告が必要かどうか、また、した方がよいかどうかの判断は、働き方や収入の受け取り方によって変わります。

所得の種類もさまざまで、個人事業主では「事業所得」と「雑所得」、会社員では「給与所得」と「雑所得」が考えられます。また、年金の受給状況なども影響します。すべてのパターンを網羅するのは難しいため、今回は基本的な考え方についてお話しします。

【参考】所得税法での所得の10種類

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得
    出所:国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得

税金も含め、金融リテラシーについては、個別にどう判断していくかが大事ですね。

そうですね。自分が該当するかどうか気になる方は、国税庁のホームページなどを確認したり、お近くの税務署に相談すると正確に判断できます。税務署は、住んでいる地域で管轄が異なるため、国税庁のホームページで確認してみてください。

 

会社員と個人事業主、確定申告の違いとは?

それではまず、個人事業主のパターンから教えてください。

個人事業主は事業所得がメインの方が多いですが、人によっては複数の所得が組み合わさることもあります。また、先ほどもお伝えした通り、全ての所得が48万円以下の場合、基本的には確定申告は必要ありません。

また、青色申告を活用して「青色申告特別控除」を活用すると、条件を満たせば「65万」「55万」「10万」の控除が受けられる可能性があります。

次に、会社員などの給与所得者の場合について教えてください。

会社員で確定申告が必要となるのは、主に以下のケースです。

  • 年収が2000万円を超えている
  • 2か所以上から給与を受け取っている(例:副業としてアルバイトをしている)
  • 年末調整されていない給与収入が20万円以上ある

副業での所得は「雑所得」というイメージがありました。これは契約上の違いで、業務委託なら「雑所得」、雇用契約なら「給与所得」になるんですね。

そうです。同じ仕事内容でも契約形態によって、パートなら「給与所得」、業務委託なら「雑所得」となります。例えば、正社員とパートを掛け持ちしている場合、どちらも「給与所得」です。

また、現時点では副業としての「雑所得」でも、規模が大きくなれば独立して「事業所得」となる可能性もあります。

ちなみに、「雑所得」は、他のカテゴリに含まれない所得が該当します。例えば、原稿料や講演料、公的年金による所得も「雑所得」にあたります。また、投資関係でしたら、FXによる所得も「雑所得」ですね。

所得には、他に「不動産所得」や「譲渡所得」もありますね。会社員として給与所得を得ながら、不動産収入を得ている方もいます。その場合、確定申告は必要ですか?

例えば、マンションを所有して家賃収入を得ている場合、その所得は「不動産所得」となり、確定申告が必要となる可能性が高いです。家賃収入というと年間で20万円以上になることが多いですから。

個人事業主でも会社員でも、副業かどうかに関わらず、不動産に関する所得は「不動産所得」になります。

マンションを所有していて、家賃収入があるという場合、以下のように整理できます。

マンションを所有し家賃収入がある場合の分類
  • 不動産業を主とする個人事業主→「不動産所得」がメイン
  • 他の事業を主とする個人事業主→主な事業による「事業所得」に加えて、「不動産所得」がある
  • 会社員→「給与所得」に加えて、「不動産所得」がある
所得の種類が複数に及ぶ人は、全種類の所得を把握し、必要に応じて確定申告しましょう。

税控除を最大限に活用しよう!

続いて、「控除」についても教えてください。

所得控除には以下の15種類がありますが、特に該当する可能性が高いのは「医療費控除」「雑損控除」「寄付金控除」です。

  1. 雑損控除
  2. 医療費控除
  3. 社会保険料控除
  4. 小規模企業共済等掛金控除
  5. 生命保険料控除
  6. 地震保険料控除
  7. 寄附金控除
  8. 障害者控除
  9. 寡婦控除
  10. ひとり親控除
  11. 勤労学生控除
  12. 配偶者控除
  13. 配偶者特別控除
  14. 扶養控除
  15. 基礎控除

出所:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし

「医療費控除」は、年間で医療機関に支払った金額が対象となります。また、医療費控除と併用はできないのですが、「セルフメディケーション税制」といって、市販薬の購入金額が、1万2000円(税込み)を超えたら控除の対象となる制度もあります。

医療費控除は聞いたことがありますが、「セルフメディケーション税制」は初めて聞きました。

セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進及び疾病の予防として、一定の取り組みを行っている方が、その年中に自身または生計を一緒にする配偶者その他の親族のために1万2000円を超える対象医薬品を購入した場合に、控除を受けることができる制度です。

生計が同じ人が対象になりますので、一緒に住んでいる家族が購入した医薬品も合わせた金額ですね。この控除を受ける場合には、医療費控除を受けることはできませんので、注意が必要です。

「雑損控除」は、適用される状況がないことが望ましいですが、地震などの災害の被害を受けた際に適用される控除です。

「寄付金控除」でよく知られているのはふるさと納税です。クラウドファンディングでも対象になることがありますので、「寄付金控除対象」という記載があるかどうかを調べてみてください。

該当するものがあるかどうか、自分でしっかりと調べる必要がありますね。

ちなみに給与所得者で年末調整をした人も、年末調整し忘れた控除は、確定申告で申請することができます。

また、給与所得者の方でも確定申告が必要な控除がもうひとつあり、それが「初年度の住宅ローン控除」です。2年目からは会社に申請すれば、まとめて年末調整をしてもらえます。

会社員で「納税」という観点で確定申告をする方には、最初から副業をしている場合もあれば、キャリアの途中で始める場合もありますね。

そうですね。すぐに確定申告の知識が必要ではない方も、将来的に役立つ場合があるかもしれません。必要となったタイミングでこのPodcastを思い出してもらえたらうれしいですね。

第13話のまとめ

  • 会社員や公務員など年末調整をしている人でも、副業をしていれば確定申告が必要な場合もある
  • 個人事業主は、原則として確定申告が必要。ただし、控除を活用して申告不要となるケースもある。
  • 所得の種類が複数ある場合、確定申告が必要な可能性がある。
  • 確定申告が必要かどうかは、働き方やライフスタイルによって変化する。分からない場合は税務署に確認を。

パーソナリティー:泉田良輔プロフィール

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株式会社モニクル
取締役 グループ戦略担当

泉田 良輔 Ryosuke Izumida

慶応義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年3月、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、取締役に就任(現在は代表取締役)。2018年11月、株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任。2021年10月、ナビゲータープラットフォームとOneMile Partnersの親会社として、株式会社モニクルを設立し、取締役に就任。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京科学大学大学院非常勤講師。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」など

 

 

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