音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第7回の「給与明細には情報がたくさんー住民税」でお話した内容を記事としてお届けします。
住民税について説明する上で、所得税との違いがポイントになってきます。どちらも給与から天引きされる税金ですが、実は大きな違いが1つあります。
所得税は国に納める「国税」、住民税は都道府県と市町村に納める「地方税」なんです。つまり、納める先が異なります。
住民税は、1月1日時点で居住している市町村と都道府県に納めるルールになっています。個人が支払う住民税は「個人住民税」と呼ばれています。企業が支払う「法人住民税」もありますが、今回は、私たちに身近な個人住民税について解説します。
住民税は、消防や救急、学校教育、ごみ処理などの公共サービスを支えるために住民が負担する税金です。給与から控除され、一括で勤務先から市町村に納税され、その後都道府県に納められます。給与明細では「道府県民税」と記載されることが多いです。
東京都では、「道府県民税」ではなく「都民税」と呼びます。東京23区では「市町村民税」の代わりに「特別区民税」という名称が使われますが、いずれも制度としては同じものです。
住民税は、所得に関係なく一律の「均等割」と、所得に応じた「所得割」(基本税率10%)の2種類があります。給与から控除される住民税は、この2つを合算した金額です。
均等割や所得割の税率は決まっているのですが、自治体によって若干の差が生じることがあります。
均等割は、所得に関係なく全員が一定額を支払う税金です。2024年6月からは「森林環境税」が加わり、標準額が5000円となりました。
はい。前回、所得税の話で登場した「課税所得金額」に連動して決まります。
項目はほぼ同じですが、控除額が異なります。所得税と住民税の両方で控除の枠が使えますが、控除の上限額があるため注意が必要です。
また、資産形成の観点でお話をすると、iDeCoなどの確定拠出年金制度を活用すると、拠出額が全額所得控除の対象となります。
税額控除には、所得税・住民税のいずれにも「住宅ローン控除」など共通するものもありますが、大きな違いは「寄付金控除」の扱いです。例えば、ふるさと納税などの寄付金控除は、所得税では「所得控除」、住民税では、「税額控除」として扱われます。
税額控除は、所得税と住民税それぞれに控除枠が設定されています。例えば、住宅ローン控除では、所得税で控除しきれなかった金額を住民税で控除することができます。一方で、住民税で控除できる金額には上限があり、他の控除との兼ね合いもあるため、事前の確認が重要です。
この通知書は「特別徴収税額通知書」と呼ばれています。住民税の支払い方法には「特別徴収」と「普通徴収」がありますが、給与からの天引きは特別徴収です。
給与を支払う事業者には、従業員の給与から所得税と住民税を天引きして納付する義務があります。所得税は「源泉徴収義務」、住民税は「特別徴収義務」と呼ばれています。
自営業やフリーランスの方など、給与所得ではない方が該当します。また、給与所得者でも副業をしている場合、副業の所得税や住民税は確定申告を経て普通徴収で納めることになります。
確定申告については、また別の回で詳しく取り上げたいと思います。