音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第3回の「『資産形成』『資産運用』の違いは?そもそも『資産』って何だろう」でお話した内容を記事としてお届けします。
本題に入る前に余談ですが、4月3日は何の日か知っていますか?
はい。実はこのポッドキャストとも関係しているんですが、4月3日は、「4」と「3」で「しさん(資産)」と読み、「資産形成を考える日」なんです。
実はモニクルの子会社であるモニクルリサーチが作った記念日で、日本記念日協会に登録されています。「資産運用の日」にしなかったところがポイントです。
資産とはどのようなものを指すのか、ご存じですか?
金融の世界でいう、資産とは文字通り「金融資産」のことを指します。一般的に、資産には「金融資産」と「実物資産」の2種類があるんです。
まず、「実物資産」は、簡単にいうと、形があって価値があるものです。不動産、金、骨董品などですね。不動産は登記する必要があり所有者が確定していますが、骨董品や金は登記がいらないため、正式な所有者が不明なことがあります。
一方、「金融資産」は、形はないが価値があるもので、基本的には名義があるものです。預貯金、株や債券などの有価証券、投資信託、保険などを指します。
今後、このポッドキャストで学習していく「資産」は、主に「金融資産」だと思ってください。
では、思いつくままでいいので、その2つの違いを想像してみてください。
「資産形成」は、これから資産を作ること。「資産運用」は、いま手元にある資産を活用して、増やそうと努力することです。例えば、株の売買は、資産を増やそうとする際の手段のひとつですね。
そうです。つまり、これから老後に向けて資産を準備することは資産形成といえますし、資産形成である程度資産が増えて、さらにどのように増やそうかと検討することは資産運用といえます。
はたらく世代の30代ですと、引退までの約30年間にわたり資産形成をすることになります。多くの人にとって、老後までに資産を準備をすることは、資産形成といえますね。
そうですね。金額の大小ではなく、投資先を入れ替える検討をして、実行することはもはや資産運用になりますね。
資産形成を始める際に投資した金融資産を最後まで持ち続けることもありますが、一部を売却して別の金融資産や金融商品に投資し始めると、資産形成をしながら資産運用も行っていることになります。
また、毎月預貯金を積み立てることも、立派な資産形成といえます。その預貯金を取り崩して、新たに投資信託を購入した場合には、資産運用であると考えてよいでしょう。
一番大事なことは「複利」ですね。
そうです。複利は、最初に投資したお金を運用して、増えた利益もふくめて運用するので、お金が雪だるま式に増えていくイメージです。長期間運用するほど、メリットがあります。
一方、「単利」というものもあります。単利は、投資した後に増えた利益を毎回引き出していくイメージです。最初に投資したお金のことを「元本」というのですが、単利の場合は、元本がずっと変わりません。
分かりやすいので、元本100万円を例にして、単利と複利の話をしましょう。ちなみに、単利と複利の「利」とは、利子のことです。
運用を始めて1年目は、単利でも複利でも同じですね。金利5%なので、どちらも105万円になります。変化が出るのが、2年目からです。
単利の場合は、100万円の元本のみに利子がつくので、毎年5万円ずつ増えます。つまり、2年目の総資産額は110万円です。
複利の場合は、2年目は、1年目の総資産額である105万円に5%の利子がつくので、110万2500円になります。
2年ですとインパクトが少ないように感じるかもしれませんが、5年たつと、単利の場合は、125万円。複利の場合は、127万6282円になります。
複利を活用すると資産が雪だるま式に増えていくので、しっかりとした資産を選ぶことと、時間をかけることが重要となります。
質問ですが、複利のメリットを受けられなくなるのはどのような時でしょうか。
そうですね。医療費については、高額療養費制度などもあるので社会保障である程度カバーしてくれるとは思いますが、預貯金に手をつけざるを得ない場合もあるかもしれません。そんな時は、万が一に備えた保険があれば安心ですよね。
保険自体は金融資産で、事前に想定した状況になった場合に、お金が支払われる仕組みですね。死亡した際に支払われたり、最近だと、就業不能保険や収入保障保険などもあります。
こうした保険は掛け捨てにはなりますが、保険の準備ができていれば、万が一、働けなくなったり、収入が減った時にも、資産形成を続けられます。長期間続けていくためのお守りみたいなものですね。何もなければそのまま資産形成を続けられますし、何かあればお金をサポートしてくれます。
したがって、資産形成をより確実なものにするためには、数十年間資産形成が続けられるように、保険なども含めて準備をすることが大事だとお分かりいただけると思います。