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イッタラのリブランディングをデザイナー目線で考える

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はじめに

1881年創業のイッタラは、「革新的なデザインとカラーガラスのパイオニア」です。

フィンランドのイッタラ村にイッタラ・ガラス工場として設立されたこのブランドは、国際的に知られるデザイン・ブランドに成長し、その専門知識を陶器や金属など他の素材にも広げ、テーブルウェアだけでなく、カトラリー、調理器具、インテリアを彩るアイテムまで、ライフスタイルに寄り添うアイテムすべてを提供しています。

2023年からは新しいクリエイティブイメージを発表し、新時代を迎えようとしています。今回は、そんなイッタラのリブランディングについて、考えてみたいと思います。

これまでのイッタラデザイン

最初に、これまでのイッタラのデザインについて、見てみましょう。

140年以上に及ぶ歴史の中で、その時々の時代背景やブランドの状況、デザインの方向性や文化的な影響などを反映し、イッタラはさまざまなエンブレムやロゴを生み出してきました。1956 年にティモ・サルパネヴァが i-ライン コレクションの箱のためにデザインした赤い「i」のマークは時を経てブランドを象徴するロゴになりました。そして時代とともにロゴは刷新されていきました。

イッタラ公式オンラインサイトより引用

1956年にティモ・サルパネヴァ(多才なグラフィックデザイナー兼プロダクトデザイナー)によってデザインされたロゴは、もともと「i-line」シリーズのパッケージのためにデザインされ、その後イッタラのブランドを表すロゴとして採用されていました。

ミニマルなデザインで、すべて小文字で組み合わせた素晴らしいロゴデザインですが、装飾的で有機的で繊細な製品を生み出す現在のイッタラ製品にとってはロゴデザインを変更するタイミングに来たようです。

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新デザインのロゴ

イッタラのクリエイティブ・ディレクターであるJanni Vepsäläinen(ヤンニ ヴェプサライネン)さんがディレクションをし、グラフィックデザイナーのAleksi Tammi(アレクシ・タンミ)さんが共同でデザインした新しいロゴとブランドカラーを発表しました。

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新しいロゴは、過去のイッタラのロゴ、特に1892年のロゴからインスピレーションを得ています。「T」の文字が組み合わされたロゴの文字は、イッタラの過去の歴史的なルーツを表すものでもあります。また、創業年の「1881」の数字を組み入れることで、ブランドの豊かな歴史とガラスのものづくりの伝統に敬意を表しています。

「T」の文字を組み合わせることによりユニークなデザインを実現し、中心に据えた「A」や「L」とのバランスが良くなるように、美的な調整を行っています。

フォントも新たに制作

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新しいロゴもグラフィックデザイナーであるアレクシ・タンミ(Aleksi Tammi)が手がけ、タンミがタイポグラファーのヨーラン・セーデルストロム(Göran Söderström)とともに制作した「Aino」というフォントも誕生しました。

「Aino」と名付けられたこの書体についても、1892年のイッタラのロゴからインスピレーションを得ました。

なお、「Aino」という書体名は、イッタラの最も長い歴史を持つシリーズ、アイノ・アアルトコレクションを生み出したフィンランドデザイン界における女性デザイナーの先駆者のひとり、アイノ・アアルトへのオマージュで名づけられました。

エレガントな書体でありながら、碑文に刻まれた文字のように歴史を感じさせる雰囲気の素晴らしい書体デザインです。特に「B」「P」「R」など、ステムとカーブが交わる時に少し上に上がるデザインに特徴があります。

ライフスタイルブランドからデザインブランドへの転換

イッタラは、リブランディングに合わせてロンドンを拠点に活動する実験的なサウンド&ビジュアルアーティストとのコラボレーションを発表しました。マウスブローでつくられたガラスの楽器やオブジェには、これまでのイッタラのイメージとは違う印象を覚えます。

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これらの画像からも、イッタラはグラスや花瓶のライフスタイルブランドではなく、ファッションやデザインブランドとして位置付けられていることが読み取れます。その場合、以前のロゴデザインも素晴らしいですが、今回の新しいロゴデザインの方が、今後のブランドの方向性に合致しているように感じます。

まとめ

ここまで、イッタラのリブランディングについて考えてきました。ロゴや書体では今までの歴史を感じさせる重厚なデザインながら、プロダクトのデザインや写真、展開で新しさやエネルギーを感じる素晴らしいリブランディングの事例でした。

※記事内の画像はすべて©Fiskars Group 画像の無断転載や使用はお控えください。

参考サイト

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