金融リテラシーは、リベラルアーツ!お金にとらわれすぎず、「どう生きるか」を考えるために 【第50話】
外部の知見の適切な活用

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はじめに
音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第50回の「外部の知見の適切な活用 金融リテラシーは、リベラルアーツ!お金にとらわれすぎず、「どう生きるか」を考えるために【第50話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
「お金で大ケガをしない」ための50回を振り返る
今日は、金融リテラシー総仕上げ編ということで、これまでの学びを振り返ります。
これまでの放送回で取り上げてきた主なテーマをキーワードで挙げてみます。
- ライフプランニング
- 金融商品
- 投資
- 新NISA制度とiDeCo制度
- 税金
- 金利
- 保険
- 年金
- クレジットとローン
- 金融にまつわるトラブル対策 など
これだけさまざまなジャンルの話を網羅してきたら、金融リテラシー・マップの項目を一通りおさえられたのではないでしょうか。
そうですね。あらためて振り返ると、最初に学んだ「家計管理」や「ライフプランニング」の重要性を特に感じます。「キャリアを考えるところが金融教育のスタートである」という点も、自己投資という観点を考えると、本当にその通りだなと思いました。
話がつながりましたか?
そうですね。学んだことが点から線になったように感じます。ここからは、この知識を使ってどのように行動するかが大切ですね。「NISAを始めてみよう」「iDeCoにも興味が出てきた」と初めて投資をする方もいるでしょうし、「保険を見直そう」「いまの投資を見直そう」という方もいると思います。「お金をどう使いたいか」という話は、生き方にもつながりますね。
そうですね。結局、「ライフプランニング」に戻るんです。
ライフプランニングから考えるお金の使い方
プランニング、つまり「計画」ですから、途中で変わることもあります。旅行先でも、「あっちが面白そうだから行ってみよう」「雨だから予定を変えよう」と臨機応変に行動しますが、ライフプランニングも都度見直して予定変更することが大事ですね。自分の意志だけでなく、家族や会社、社会情勢の変化でキャリアプランが変わることもあります。偶然のきっかけで予想外の選択をすることもありますよね。
時間の観点も大切です。ライフプランニングをしておくと、「自分が実現したいことにはこれくらい時間とお金がかかる」となんとなくイメージできます。
また、「将来はどんな仕事をしようかな」と考える学生と、「転職しよう」と考える社会人では、実現したいことや視点も異なります。
ライフプランニングは、時々見直すことをおすすめします。いつでも計画通りに進むとは限らず、状況は都度変わるからです。金融リテラシーがあると計画の現実味が増し、解像度も上がり、必要なものも見えてきますよ。
お金の面を考えずに計画すると、チャンスが来ても「もっとお金を用意しておけばよかった」となるかもしれませんね。
適切なタイミングでチャンスをつかむには、資金があると行動しやすいですね。人生には逆転劇もありますし、偶発性が面白さやチャンスをくれることもありますが。
思わぬ道に進んだ方が面白いこともありますよね。「お金がなくてチャンスを見送り、別の選択をした。それでも結果的には良い選択だった」ということもありますし、その逆もあると思います。
ローンを推奨するわけではありませんが、金融リテラシーがあればローンやクレジットカードを活用して課題を解決できる場合もあります。
「この資金を用意するには何十年もかかる」という場合でも、ローンで資金を準備することで、「いましたい」大きなことを実現できるわけです。
住宅ローンや海外留学など、いまのチャンスを逃さないためにお金を使うという考え方もありますね。
「良い借金」と「悪い借金」とは
「良い借金」「悪い借金」という言葉を聞いたことがあります。
ローンや分割払いには金利が発生するので、金利を含めて返済可能な額でなければいけません。あくまでもその前提の話ですが、「金利を払ってもプラスになる」場合があります。
パソコンを分割で購入し副業で利益が出る場合もあります。スキルアップすれば仕事の幅が広がりますし、金利を上回る収益を得られるほどのビジネスを生み出せるかもしれません。
住宅ローンを組んで家を買った場合、不動産という資産を得られますし、「自分の家を買えた」といううれしさも、プラスの価値がありますよね。これは「良い借金」といえます。
確かに、自分の人生の満足度や充足感も大切ですね。ただ、目先の欲だけで何も考えずにショッピングすると、悪い借金の例になってしまいますね。
また、「一括払い」については、必ずしも得策とは限りません。たとえば、「家を一括で購入して、手元の資金がなくなった」となったら生活に困りますよね。
日々のキャッシュフローが崩れてしまいますね。
自分が求める生活の質を維持するために、住宅ローンなどを上手に活用することも金融リテラシーです。ローンの金利を支払いながら、同時に積み立て投資で貯蓄していくと、これまで学んだ投資知識も活かせますよね。
同様に「一括投資」もリスクが高いです。資産に余裕がある人向けの投資方法で、基本的に全額投入はおすすめしません。投資額が大きい分リターンも大きいですが、元本を失うリスクもあります。
投資の原則は「積立・長期・分散」です。
せっかく作り上げた資産を失う可能性があるんですね。
はい。無理な投資はリスクが高いという点は覚えておいてください。
「どう生きるか」を考えるための金融リテラシー
この番組では、資産形成の話をずっとしてきましたが、その前提はライフプランニングです。ライフ、つまり人生です。
「自分の人生をどうしたいか」ですね。できれば、自分も家族も幸せだと思える人生がいいですね。
お金は人生を歩む上で必要不可欠なものですが、出発点は「自分がどう生きたいか」です。そのために「何が必要か」「何がほしいか」を考えると、必要なお金の額が見えてきます。
それに基づいて、キャリアの選択や投資、ローンを組むかどうかの判断もでき、保険などのリスク対策も考えられます。
ライフプランニングを通じて自分の人生を考え、どのようにお金を使うか判断することこそ、金融リテラシーの本質です。
お金の使い方は自分自身に託されているということですね。年金や税金について理解していると、老後資金の準備や可処分所得の把握にも役立ちます。個人的には、金利やアメリカの経済の話も学びになりました。
こうした知識を得ることは大切なのですが、過剰な自信を持つと、逆にお金や投資で大けがをする原因にもなります。だからこそ、自分で知識をアップデートしつつ、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
証券会社の窓口担当者、ファイナンシャルプランナー、保険会社の担当者、銀行の方など、各金融機関の専門家はもちろん、特定の企業の商品に縛られない代理店など中立的な立場で相談できる方もいますね。
トラブルがあれば、消費者ホットラインや警察、金融サービス利用者相談室などに相談することもできます。電話番号なども調べれば出てきますので、参考にしてください。
このポッドキャストを通して、自分で知識をアップデートするための基盤をお伝えできていたらうれしいです。泉田さん、まもなく最終回の50回を終えますが、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
金融リテラシー・マップという、学ぶのに最適なカリキュラムを50回にわたり網羅してきました。学んで終わりではなく、ここからが実践のスタートです。
一番大事なことは、自分が何をしたいかを起点に考え、それを実現する手段としてお金をどう活用するか判断することです。そのために必要なのが金融リテラシーです。
お金に縛られない自由を手に入れるための知識こそ、リベラルアーツだと思います。ここで学んだことをスタートにして、自分のやりたいことを実現できるのが理想の姿ではないでしょうか。
第50話のまとめ
- お金は手段である
- 金融リテラシーは、お金に縛られない自由を手に入れるための知識
- ライフプランニングを通じて自分の人生を考え、どのようにお金を使うか判断することが、金融リテラシーの本質
パーソナリティー:泉田良輔プロフィール

株式会社モニクル
取締役 グループ戦略担当
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
慶應義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年3月、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、取締役に就任(現在は代表取締役)。2018年11月、株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任。2021年10月、ナビゲータープラットフォームとOneMile Partnersの親会社として、株式会社モニクルを設立し、取締役に就任。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京科学大学大学院非常勤講師。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」など。