音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第48回の「金融取引の基本としての素養 #1 金融トラブルに巻き込まれないために①詐欺を見分けるための基礎知識!よくある手口を知っておこう【第48話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
近年、詐欺被害が相次いでいます。今回は代表的な金融トラブルのリスクと、困ったときに相談できる窓口についてご紹介します。
金融トラブルには、まずどのようなものがあると思いますか?
はい、どちらも金融トラブルに含まれます。「日本貸金業協会」がまとめている、お金にまつわる代表的な詐欺には、以下のようなものがあります。
- マルチ商法
- 名義貸し
- 副業、アルバイト詐欺
- フィッシング詐欺
- 融資保証金詐欺
「マルチ商法」は「絶対に儲かる」と勧誘し、投資や副業を紹介する手法です。ネットワークビジネスとも呼ばれ、会員がさらに他の人を勧誘する仕組みです。「これを読めば儲かる」と教材販売を持ちかけるケースもあります。
高額の配当金や金利を約束して資金を集める運用詐欺は、「ポンジスキーム」とも呼ばれます。これは投資詐欺事件の9割に当てはまるといわれる典型的な手口で、最初のうちは配当金が支払われるため、だまされやすいといわれています。
「未公開株」「仮想通貨・暗号資産」「不動産」「私募ファンド」「太陽光発電」などが、過去に事例としてありました。新規性のあるものは、詐欺の材料にされやすい傾向がありますね。
構造は同じですが、マルチ商法は商品を売買するのに対し、ねずみ講はお金だけのやり取りの手法を指します。ねずみ講は違法ですが、マルチ商法は全てが詐欺ではありません。
「特定商取引法」で取引のルールが定められており、禁止事項なども定められています。そのルールに従っていれば合法ですが、詐欺に使われることも多いので要注意です。
支払えないような高額の入会金を求められたり、商品の購入を強制されて借金をしてしまうケースもあります。
他にも、以下のような詐欺があります。
- 名義貸し
- 副業、アルバイト詐欺
- フィッシング詐欺
- 融資保証金詐欺
「名義貸し」は原則として違法で、たとえ家族同士でも禁じられています。例えば、口座開設やクレジットカードを作る際に名義の貸し借りをする行為がこれに当たります。
クレジットカードは、本人しか利用できません。家族であってもカードを借りて買い物をするのは違法です。
また、銀行口座を売買したり、貸したりするのも違法です。貸したほうも借りたほうもどちらも犯罪になります。
「簡単に稼げる」「〇〇するだけ」と仕事を装い、人を集めて高額な費用を要求するのが、副業・アルバイト詐欺の典型です。
また、報道で耳にすることも多いですが、同じような手口で「闇バイト」といわれるものがあります。闇バイトは、詐欺や強盗などの実行犯にされてしまう場合もあります。
警視庁の特設ページなどで、具体例なども確認してみてください。注意すべきポイントがまとめられています。
万が一怪しいと感じる事案があったら、自分一人では判断せず、警察の相談窓口に相談することも大切です。
学生の皆さんは、初めてアルバイトをする方も多いかと思います。「簡単に高額を稼げる」というアルバイトは存在しないと思っておいた方がいいでしょう。そういう案件は危ないのではという認識を持っておくことが大切です。
そうですね。そしてこれも数が増えていますが、認可されている実在の金融機関の名前をかたったり、「個人情報が流出した」と不安をあおって情報を抜き取る「フィッシング詐欺」です。
HPも巧みに作られていて、実在する金融機関やカード会社などのサイトと見分けがつかないこともあります。これは「フィッシングサイト」と呼ばれます。
フィッシングサイトにIDやパスワード、口座暗証番号やマイナンバーを入力すると、重要な個人情報を相手に渡してしまうことになります。
まずは危険なサイトをはじいてくれるセキュリティソフトウエアなどを、PCやスマホなど、普段使うデバイスに入れておくことですね。
他にも、URLをチェックして「co.jp」など、ドメインの信頼性を確認する方法もあります。ただ、これはネットリテラシーがそれなりに高くないと判断材料として使えないかもしれません。
メールやSNSのリンクからは、サイトへアクセスしない習慣をつけておくことも重要です。
例えば、よく使う証券口座などのページはブックマークしておき、そこから直接アクセスすれば詐欺サイトを踏むリスクを減らすことができます。
メールの場合、不自然な送信元アドレスで気づける場合もありますね。ただ、最近はなりすましも巧妙化していて、真偽を見抜くのが難しい場合もあります。
警察をかたる詐欺も増えていますね。この辺りも警視庁のページに対策がまとめられています。
また、被害に遭った場合の連絡先として、各金融機関の窓口が「一般社団法人全国銀行協会」にまとめられています。
クレジットカードの不正利用などがあったら、カードを停止することもできます。
フィッシングサイトを見つけた場合の通報窓口もありますし、警察に通報・相談もできます。
金融系の著名人を名乗る詐欺も増えていますよね。SNSのなりすましアカウントから詐欺サイトに誘導して、そこから個人情報を入力させようとします。
実際にあるサービスや企業名、ロゴを使用したり、アカウント名も「.」や「_」が入っているかどうか、末尾に数字があるかどうかなど、ぱっと見では本物のアカウントと間違えそうな見た目をしていることがあります。
「融資保証金詐欺」というものもあり、これも実在している大手金融機関の名前をかたって「必ず融資します」という詐欺メールを送り、「先に保証金を払ってください」と要求してくる詐欺です。
「低い金利で高額を借りられる」と好条件を示し、「まずは保証金を」と銀行口座にお金を振り込ませる手口です。
ローンやクレジットなど、借金にまつわる話も以前解説しましたが、必ず審査があることをお伝えしました。
「審査不要」「誰でも借りられる」と宣伝している業者は危険です。こうした業者は、いわゆるヤミ金融にあたります。
金融に関わる事業者は原則、政府からの免許が必要で、貸金業も同様です。違法な金利でお金を借りることになってしまうので、絶対に近づいてはいけません。
認可されている会社かどうかは、金融庁のHPで確認できますので、もし借金を検討する必要がある状況なら、こうしたリスク管理が必要です。
NISA制度ができたことがきっかけとなり、投資に興味を持つ人が増えていますよね。金融商品の知識を学ぶことも大切なのですが、詐欺にあわないための知識も、大切な金融リテラシーだと思います。
冷静に判断すると分かりますが、「自分だけは大丈夫」という思い込みが一番怖いといわれていますね。