音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第45回の「債券を知ろう!③金利の高い債券ほど、格付け評価が低い?アメリカの長期金利は、なぜ上がった?【第45話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
事例を取り上げながら、債券と金利の関係について解説していきましょう。
2025年5月、ムーディーズなどの格付け会社によって、米国債の評価がAaa(最上位)からAa1(上から2番目)に引き下げられました。その結果、米国債の利回りが上がりました。これは、前回もお話ししましたが、債券の信用力が下がり、それに伴って債券の価値も下がったためです。
ちなみにムーディーズは、日本国債のランクをA1(上から5番目)としており、米国債と比べると決して高い評価ではありません。
はい、違います。債券の金利は利付債の場合には発行時に決まっているので、過去に発行された債券が市場で取引されていても、その金利自体は変わりません。
たとえば「利率5%の額面100万円の債券」として発行されたら、5%の利率は満期まで一定です。債券を償還日まで持ち続けている場合、利回りはあまり気にする必要はありません。
利回りを意識すべきなのは、その債券が市場で売買される場合です。
過去に発行された債券は「既発債(きはつさい)」と呼ばれ、流通市場で投資家同士が売買することがあります。市場では債券の価格が変動するため、投資した金額に対して最終的にどれだけのリターンがあるかを示す「利回り」が重要になります。
一方で、新規発行された債券(「新発債(しんぱつさい)」)を額面で購入し、償還日まで持ち続ける場合は、約束通りの利率に基づいて計算された利息と元本が受け取れます。
米国債の評価引き下げは、トランプ関税の影響で米国経済の先行きに不透明感が生じ、株価が下落したところに端を発します。
通常は、株価が下がると中央銀行が景気を刺激するために金利を下げると予想して、投資家たちは債券を買います。債券は株より安心な投資先だと考えるためです。
ですが、今回はちょっと事情が違っています。米国債の格付けが下がった背景には、そもそも米国が関税率をあげなくてはいけなかったのは財政の状況が思ったより厳しいのではないかといった信用への懸念もありました。
その結果、株も下がり、債券も売られて、両方の資産の価格が下がってしまった状況です。
その通りです。今回の問題は、これまで安定とされていた米国債やアメリカ経済への不安が表面化したことです。
そのため、米国債が売られて価値が下がり、結果として長期金利が上昇しました。しかも、今回の事例では、長期金利の上昇幅が大きかったんです。今回の格付けの引き下げでぐんと上がり、4.5%を超えました。
この影響を受けて、日本の長期金利も数日後に上昇しました。とはいえ、日本の長期金利はアメリカと比べて低めで、上がったとはいえ、1.5%や1.6%程度の水準です。
関連します。米国債は、リスクが高いと判断されて利回りが上がり、債券の魅力は薄れ、価値も下がりました。結果的にこれが、長期金利の上昇につながりました。
短期金利とは、中央銀行が決める政策金利のことでしたよね。この短期金利をもとに市場で長期金利が形成されていきます。
前提として、金利は日々市場の動きに合わせて変動しています。ときどき大きな動きがあってニュースになりますが、実際には毎日変動しています。
今後、金利が下がると予想するなら、いま買うのは良い判断かもしれません。逆に、さらに金利が上がると見込むなら、債券価格はまだ下がるため、現時点では買い時とはいえません。
はい。長期金利は住宅ローンの金利などにも影響するため、その影響範囲は大きいです。
長期金利は主に10年物国債によって決まるため、この国債の値動きは金利の動向を判断するうえで重要な指標になります。