音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第44回の「資産形成商品#11 債券を知ろう!②債券の発行目的は?債券のリスク判断は「トリプルA」などの格付けをチェック!【第44話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
今日はまず、「債券」の成り立ちについてあらためておさえておきましょう。債券が発行される主な目的は何だと思いますか?
その通りです。債券は国や地方公共団体、企業などが、資金調達をするために発行するものです。
株式発行と社債の発行の違いですね。企業からすると、社債で資金調達した場合、利払いとともに、期日に額面金額を債権者(債券の買い手)に返済する義務が発生します。
一方、株式による資金調達では返済義務はありませんが、その代わりに株主が経営に参加することになります。
その通りです。
企業は自己資本比率なども考慮する必要があり、債券もしくは株式のどちらを選択して資金調達することになります。どちらで資金調達すべきかは一概にいえません。経営判断により決定されます。
まずは、やはりリスクです。株式は値動きの変動が大きく、ハイリスクハイリターンです。社債は株式よりは比較的ローリスクローリターンといえます。
一方、債券は満期まで保有すれば額面金額は戻ってくる仕組みですが、元本保証ではありません。ですが、格付けが高い企業の債券であれば、比較的安全性が高いといえます。
また、インフレに強いのは、債券より株式です。
分散投資の観点から、ポートフォリオにはどちらも入れておくと良いでしょう。性質が真逆の金融商品ですから。
少し余談ですが、社債の中には、転換社債やワラント債というものもあります。
株式購入権のことを「ワラント」というので、この呼び名がついています。要は、その会社で新株を購入できる権利が付いた社債のことですね。
債券という名称ですが、どちらかというと「株式での資金調達」という意味合いが含まれています。
では、企業はなぜこのような商品を発行するのかというと、格付けが高い企業の場合は投資家から低い金利で資金を調達できますよね。
ただ、信用力が高い債券を発行できる企業ばかりではありません。
格付けが低い場合、債券を発行すると、高い金利で借金する必要がありますが、それを避けるために、このワラント債を発行するということです。
将来的な株価上昇の可能性を投資家に感じさせることで、株式としての魅力が高まり、低金利のワラント債を買ってもらえることがあります。
債券は格付けされていて、「金利」やキャッシュフローにもとづく「信用」によって値動きします。株式の値動きは、企業の業績や市場の状況に左右されます。
一方で、債券の価値を決める大きなポイントは、この「信用」です。
一般的に国が発行する債券の信用が高いとされるのは、国は倒産する可能性が低く、投資した額面の金額が保証される可能性が高いと考えられているためです。
もちろん、国が財政破綻したら予定通りの期日にお金が支払われず、債券が紙屑になるリスクもあります。
そうです。投資家がそのようなリスク判断をするために「格付け」という制度があります。
個人が金融機関に借金を申し込む場合も「信用力」の審査がなされますが、債券も同様です。
一般的に、法人でも国でも個人でも、「信用力」が低い主体にお金を貸すと、返ってこないリスクが高まるため、金利が高くなってしまいます。
先日、トランプ関税の影響で「米国債の格下げが行われた」というニュースがありました。これは、米国債の信用力が下がったということを意味しています。
格付けは民間の格付け会社が決めています。格付け会社は複数あり、会社によって見解(レーティング)が異なることもあります。
その通りです。基準としては一般的に、「AAA(トリプルA)」「AA(ダブルA)」「A(シングルA)」「BBB(トリプルB)」などで分けられています。
具体的な格付け会社は、日本では「R&I」「JCR」、米国だと「ムーディーズ」、「S&P」などがあります。
「BBB」くらいまでといわれています。それ以下だと、投資ではなく「投機」という扱いになります。投機の方が、リスクが高いイメージですね。
投機はギャンブルとまではいきませんが、一般的にハイリスク・ハイリターンの性質があるといえます。また、この格付けが高いほど、債券の金利は低くなる傾向があります。
その通りです。そのあたりの仕組みについては、また今度解説しようと思います。