音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第32回の「資産形成商品#6 投資信託を知ろう!⑥投資信託を購入するとどんなコストが発生する?ETF、REITって何? 【第32話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
投資信託の「手数料」は、主に以下の3種類があります。
1つ目は「購入時手数料」。投資信託を購入するときに、口座を開設している販売会社(証券会社や銀行など)に「申し込み価格の数%」を支払います。同じ商品であっても、販売会社によって料金は異なる場合があります。
ただ、最近では、ネット証券などで購入時手数料がかからない投資信託が増えています。このタイプの投資信託は「ノーロード」と呼ばれています。
また、新NISAの「つみたて投資枠」の対象商品は、ETF以外は購入時手数料が無料の商品が選ばれています。 ETFの場合も「1.25%以下」とされています。
2つ目は「運用管理費用(信託報酬)」です。信託報酬は、投資信託を持っていることで発生する費用で、投資信託を手放さない限り毎日発生します。
この金額は投資信託によって決められており、どの販売会社で購入しても同じ金額です。基準価額を算出するタイミングで自動的に差し引かれているので、意識的に支払うことはありません。
信託報酬は、ファンドの運営や管理費用です。インデックスファンドとアクティブファンドでは、後者の方が高額となる傾向があります。アクティブファンドは投資に関わる分析が必要になり、人が介在する分、費用が増えるためです。
最近のインデックスファンドは、だいたい「0.1%」から「0.5%」くらいです。中には0.1%を下回ることもあり、商品によってさまざまです。
アクティブファンドでは、「1.0%」を超えて「1.5%」くらいのことが多いですね。
信託報酬は毎日かかる費用なので、長期運用となると、差が響いてきます。パフォーマンスがあまり変わらないインデックスファンドは手数料の安いものを選び、アクティブファンドは信託報酬に見合った投資信託にこだわる、という方法もあります。
ただ、同じようなインデックス連動でも「このファンドの商品が良い」という観点で選ぶ人もいるでしょうし、好みになると思います。
新NISA制度のつみたて投資枠の商品は、この信託報酬が低水準のものが選ばれています。
はい、「運用管理費用(信託報酬)〇%」という形で書いてあります。年率で書かれるのが一般的です。
例えば、信託報酬1.0%の投資信託を10万円分、1年間持っていたら、約1100円を信託報酬として支払います。消費税もが10%含まれています。厳密には値動きするので支払い金額は前後しますが、この信託報酬は運用会社・販売会社・信託銀行で配分されます。
3つ目は「信託財産留保額」です。投資信託を解約するとき、つまり売却するときに発生する費用です。
これは解約によって運用資産の一部を売却する際に生じる手数料であり、他の投資家への影響を抑えるための費用として、純資産に組み入れられ運用され続けます。
だいたい「0.2%」から「0.3%」くらいが一般的ですが、信託財産留保額が発生しない商品もあります。
投資信託に関わる基本的な手数料はこの3種類ですが、他にもいくつか手数料があります。投資信託の売買・保有においてどれくらいコストがかかるのかは、目論見書に記されているので、事前に確認しましょう。
そうですね。ネット証券は、販売手数料が無料のところも多いです。自分でファンドを調べる必要がありますが、勉強しながら手軽に始められるのがメリットです。
銀行や証券会社の対面方式は、予約を取る必要があるなど、手数料がネット証券に比べて割高になる傾向があります。ですが、個別のニーズを聞いてもらい、直接アドバイスを得られることが強みです。
その通りです。「Exchange Traded Funds」の頭文字をとってETFと呼ばれています。ETFは投資信託の一種ですが、最も大きな特徴は「証券取引所に上場している投資信託」である点です。
はい、購入できます。一般の投資信託の場合、値段は「基準価額」として一日一回決まります。ですが、ETFは上場しているので、株式と同じように市場の売買に応じて、一日のうちに何度も価格が変動します。
ETFは株式と違い、投資信託なので個社株ではありません。また、アクティブ運用のETFもありますが、基本的にはインデックスに連動した運用をされる商品が多いです。
例えば、TOPIXに連動したETFを買った場合、TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドを持っているのと同じことになります。
ですが、一般的な投資信託と違い、ETFは取引のタイミングの自由度が高いです。市場が開いているタイミングであれば、いつでも自由に売買できます。
その通りです。ETFは、取引のタイミングを自分で選べるので、短期目線で投資判断をする人に向いているといえます。
新NISA制度では、つみたて投資枠でもETFを購入できますが、成長投資枠の方がより制度に合っているのではないかと思います。
つみたて投資枠だけを使っている人が、金融商品に慣れる目的で、成長投資枠にチャレンジする前のステップとして活用するのも良いでしょう。
REITは「Real Estate Investment Trust」の略称で、「不動産投資信託」とも呼ばれています。
REITはアメリカ発祥なので、その日本版という意味で「J-REIT」と呼んで区別する場合もあります。J-REITは、東京証券取引所に上場されています。
「ETFの不動産版」のようなものだと理解して良いでしょう。ところで、不動産投資というとどんなイメージがありますか?
そうですね。REITは、オフィスビルやマンションはもちろん、商業施設やホテルなど、いろいろな不動産に少額で投資することができます。
REITで投資した場合、所有権はありません。これが実物資産の不動産投資との大きな違いですね。
REITの場合、不動産の所有や管理は、REITを販売・運用する「不動産投資法人」に任せられています。管理会社などは別にあることが多いです。
例えば、〇〇不動産と名前のつく大手企業がたくさんありますよね。社内にREIT部門があったり、不動産投資法人という会社がグループ内にあったりします。金融機関系列の場合もありますし、さまざまですね。
REITは、分散していろいろな物件に投資できるので、実物資産を一つ買うよりも投資負担が少なく、分散投資できることがメリットです。
また、不動産投資には、ビルの老朽化や天災などで資産価値が下がるリスクがありますが、REITではそのリスクを一人で背負う必要がありません。
あくまでも傾向ですが、不動産は定期的に家賃やテナント料が発生します。立地のいいオフィスビルや人気のある物件に投資すると、分配金が安定するのもメリットといえます。
もう一つのメリットとして、REITは、利回りが高めだといわれています。なぜかというと、配当可能利益の90%超を分配することで、法人税が免除されるからです。法人税や内部留保等を差引いてから配当を行う株式と比較して、相対的に高い利回りが期待できます。
デメリットとしては、実物資産の不動産投資と同じように、天災などの影響を受けて資産価値が下がってしまう可能性があることですね。
そうですね。証券取引上で売買できますから、実物より手軽に不動産投資ができます。
J-REITは、東証に上場しているREIT商品全体の動向を示す指標(インデックス)のことです。個別の物件を吟味することなく、日本の不動産市場全体に幅広く投資することができます。日本の不動産に投資信託という形で投資したい場合は、このJ-REITが主な対象となるでしょう。