金融分野共通#17 新NISA制度を知ろう!②つみたて投資枠、成長投資枠、それぞれの枠で購入できる商品の特徴は? 【第25話】

ポッドキャストを聴く(金融分野共通#17 新NISA制度を知ろう!②つみたて投資枠、成長投資枠、それぞれの枠で購入できる商品の特徴は?【第25話】)
はじめに
音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第25回の「金融分野共通#17 新NISA制度を知ろう!②つみたて投資枠、成長投資枠、それぞれの枠で購入できる商品の特徴は?【第25話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
新NISA制度で購入できる商品の特徴とは
今日のテーマは「新NISAで買える商品について」です。
前回は制度の概要をお話ししたので、今回は新NISAで購入できる商品の特徴などについてお話しします。
「つみたて投資枠」も「成長投資枠」も、新NISA制度で購入できる商品は、金融庁が一定の基準を設けています。例えば、つみたて投資枠の場合は、金融庁が示した一定の要件を満たす「投資信託」と「ETF(上場投資信託)」のみが購入できます。
どういう観点で選ばれているのでしょう?
金融庁は、安定的な資産形成のポイントとして「長期」「積立」「分散」の3つを挙げています。基本的には、それに沿った商品が選定されています。
成長投資枠は、つみたて投資枠に比べると商品の種類が広がります。投資信託やETFに加えて、「上場株式」なども購入できます。
では、どういう商品が除外されているのでしょうか。
金融庁の資料によると、株式や投資信託ごとに除外基準が定められています。例えば、成長投資枠では、以下のものが除外対象です。
<株式>
・上場廃止となることが決まっている「整理銘柄」
・上場廃止基準に該当するおそれがある「監理銘柄」
<投資信託>
・信託期間が20年未満
・ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を利用
・毎月分配型
要するに、「投資の安全性について不透明感があったり、長期投資に向かない複雑な金融商品は対象外」なんです。
大前提として、金融商品にはリスクのない商品はありませんが、その中でも特にリスクが高いものが除外されている、と理解しておくと良いでしょう。
NISA口座はどこで開設する?金融機関選びのポイント
新NISAで購入できる商品のラインナップは、どこで確認できますか?
つみたて投資枠については、金融庁のNISAページに、ファンド名と運用会社の一覧があります(つみたて投資枠対象商品 : 金融庁)。
インデックスファンドですと、何を指数にしているかが掲載されています。国内型は「TOPIX」「日経平均株価」、海外型は「S&P500」「MSCI ACWI Index」(オルカン)などです。
NISA口座はどこで開設できるのでしょうか。
証券会社や銀行などの金融機関で開設できます。主に、オンラインで手続きできるネット型と、対面で相談できる窓口型の2種類があります。
NISA口座は金融機関を問わず、一人一口座しか開設できません。また、2023年末に「ジュニアNISA」が廃止されたので、現在は18歳以上の人だけが開設できます。
金融機関はたくさんありますが、どのような観点で選べばいいでしょうか。
新NISAだけではなく、一般的な口座を選ぶポイントをお話しします。新NISA以外で投資される方も参考になさってください。
口座を選ぶ主なポイントは、以下です。
- 手数料
- 取扱商品の種類
手数料は「金融商品を売買する際に支払う金額」です。コストを抑えたい方は、コストパフォーマンスのよいネット証券との相性がいいと思います。投資信託の手数料が無料の証券会社などもあります。
一方で、対面型で担当者によるサポートがある金融機関では、ネット証券では得られない情報が入ってくることがあります。証券外務員資格(一種外務員もしくは二種外務員)を持つ「ファイナンシャルアドバイザー(※)」と一緒に投資の課題を解決したい場合は、手数料にとらわれず、担当者がついてくれるタイプのサービスを選ぶという選択肢もあります。
(※)相談する相手が、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格のみを所持している場合は、NISAに含まれる金融商品について、個別具体的に提案することはできません。当然仲介することもできませんので、ご留意ください。
また、ネット証券を中心としている商品もありますし、窓口を介してのみ販売される商品もあります。どのように、どの商品を購入したいかによって、どこで口座を開設するかの選択は変わります。
注意点として、「上場株式」「ETF」「REIT(不動産投資信託)」等の取り扱いは証券会社のみです。例えば、新NISA制度の成長投資枠でこれらの商品を購入したい場合には、証券会社で口座開設をする必要があります。
NISA口座の金融機関は変更できる?
金融機関によって商品のラインナップが異なるので、「A社の商品がB社にはない」ということもありますよね?
はい、あります。口座開設している金融機関で販売していない商品を買いたい場合、販売している金融機関へ口座を変更する必要があります。また、手数料を下げたいケースや、「手数料を上げてでもその会社のサービスを使いたい」と考えて口座変更をするパターンもありますね。
新NISAの口座は、途中で変更することはできるのですね。
変更は可能ですが、何点か注意点があります。一番大きなポイントは、保有資産の移行はできないという点です。新しい口座で改めて買い付けをする必要があります。
また、口座の変更は「1年に1回」しかできません。変更届などを出す必要があり、期日も決まっています。いくつか制限があるので、事前によく調べてから手続きをする必要があります。
NISA口座で運用する金融商品は、いつでも売却できますか?
特に制限はないので、いつでも売れます。老後資金づくりを主目的としつつも、一部を売って、住宅の購入費用や、教育資金などに充てることもできます。ここはiDeCoと違って、NISAならではの使いやすいポイントですね。
未成年の資産運用は「未成年口座」で可能に
「ジュニアNISA」が2023年末に廃止されました。これから17歳以下の人が投資を始めたい場合は、どうしたらいいですか?
すでにジュニアNISAを持っている方は、名義となっているご本人が18歳になるまで、非課税のまま保有できます。ただし、新たに投資することはできません。
現在18歳未満の人向けには、「未成年口座」があります。0歳から、名義を作って口座を開設できます。ただし、未成年の間は、親権者が口座を管理する必要があります。
また、未成年口座はNISA制度ではないため、課税対象となります。運用益が基礎控除の範囲内であれば、確定申告したら税金が返ってくることもあります。
0歳で口座を開設して、長期間複利の効果を活かすこともできますね。
そうですね。また、金融教育が進められている今、親子で話し合いながら投資について実践的に学ぶこともできます。
18歳になったら新NISA口座を開設して、そこに商品を移動することはできますか?
同じ金融機関でNISA口座を開設したとしても、未成年口座から商品を移管することはできません。成人したタイミングが、また資産形成について考えるターニングポイントとなりそうですね。
第25話のまとめ
- 投資用の口座開設の際には「取扱商品の種類」「手数料」がポイントになる
- 手数料は、金融商品を売買する際に支払う金額。ネット証券は安い傾向がある
- 対人型の金融機関には、手厚いサポートや情報提供といったメリットも
- NISA口座の金融機関は、年に1回変更可能。保有資産を移行できない点に注意
パーソナリティー:泉田良輔プロフィール

株式会社モニクル
取締役 グループ戦略担当
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
慶応義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年3月、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、取締役に就任(現在は代表取締役)。2018年11月、株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任。2021年10月、ナビゲータープラットフォームとOneMile Partnersの親会社として、株式会社モニクルを設立し、取締役に就任。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京科学大学大学院非常勤講師。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」など。