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金融分野共通#16 新NISA制度を知ろう!①運用益が非課税って、どういうこと?「つみたて投資枠」と「成長投資枠」とは?【第24話】

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ポッドキャストを聴く(金融分野共通#16 新NISA制度を知ろう!①運用益が非課税って、どういうこと?「つみたて投資枠」と「成長投資枠」とは?【第24話】)

はじめに

音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。

今回は、第24回の「金融分野共通#16 新NISA制度を知ろう!①運用益が非課税って、どういうこと?「つみたて投資枠」と「成長投資枠」とは?【第24話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。

新NISA制度についておさらい

今日のテーマは「新NISA」です。最初は「NISA」という新しい金融商品ができたのかと思ったのですが、これは制度の名前なんですよね。

その通りです。新NISAについて、金融庁のWebサイトではこのように説明されています。


NISA(ニーサ)は、少額からの投資を行う方のために2014年1月にスタートした「少額投資非課税制度」です。

金融庁「NISAを知る

NISA制度ができる前は、このような少額から投資できる非課税制度はなかったのでしょうか?

非課税枠のある制度としては、iDeCo(個人型確定拠出年金)の方が歴史は古く、2001年からあります。

また、少額の投資も以前から可能でした。証券口座を開設して、投資信託を少額で毎月買い付ける「投信積立」という一般的な投資方法です。

では、なぜNISAという「非課税制度」が登場したかというと、もともとは証券税制の改革がきっかけでした。税率や経過措置をどうするかという議論の中で、イギリスの「ISA(アイサ)」という制度をお手本に、日本版として作られたという経緯があります。

「ISA」に「NIPPON」のNを付けて「NISA」と命名されたんですね。NISAは「利益が非課税になる点がメリット」ですが、NISA制度について詳しく教えてください。

新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠があります。

「成長投資枠」は、一定の基準を満たした投資信託に加えて、国内外の株式も購入できます。 一方、「つみたて投資枠」で購入できるのは、金融庁が厳選した投資信託のみです。

それぞれ購入できる商品が違うのですね。投資の方法にも違いはありますか?

「つみたて投資枠」は、その名の通り、毎月定額をコツコツと積み立てていく「積立投資」です。 「成長投資枠」は、積立投資もできますし、まとまった金額を一度に投資する「一括投資」も可能です。

この2つの枠を合わせて、最大1800万円まで非課税で資産を保有できます。ただし、成長投資枠で利用できるのは、最大1200万円までと決まっています。

投資額が1800万円を超えても非課税になる場合も

運用中にNISA口座での資産評価額が1800万円を超えた場合、その超えた分には課税されるのでしょうか。

いえ、評価額が1800万円を超えても、課税されることはありません。この1800万円という金額は運用益を含む評価額ではなく、元々の投資額、つまり「取得対価」で計算されます。

NISA口座で金融商品を購入できる金額(取得価額)の上限が1800万円までで、その投資から生まれた「売却益」や「配当金」などは非課税になります。

例えば、毎月5万円ずつ30年間積み立てると、取得価額の合計は1800万円になります。しかし、実際には運用益が上乗せされるため、資産の評価額はもっと早い段階で1800万円を超える可能性が高いでしょう。この場合でも、課税されることはありません。NISAの非課税枠は、あくまでも取得価額で計算されるからです。

例えば、資産評価額が運用益によって2000万円になっていても、取得価額が1800万円未満であれば、追加で投資できるということですね。

はい、その通りです。また、NISA口座は、一人につき一つの口座しか作れず、その中で「つみたて投資枠」と「成長投資枠」をまとめて管理します。

「つみたて投資枠」だけで1800万円の限度額を使い切ることはできますが、「成長投資枠」の場合は、単独では上限の1200万円までしか使えません。1800万円の枠を最大限活用するには、つみたて投資枠との併用が必要です。

1800万円を一括で投資することは可能なんでしょうか?

それはできないんです。年間に投資できる金額にも上限があり、つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円と決まっています。両方の枠を併用した場合は、年間で最大360万円まで投資できます。

計算上は、最短5年で1800万円の非課税上限額を使い切ることが可能です。

新NISA制度の非課税枠を使い切ったらどうなる?

もし非課税枠1800万円を全て使い切ってしまったら、もうNISAでの追加投資はできないのでしょうか?

いえ、そんなことはありません。保有している金融商品を一部売却すれば、その商品の取得価額分の枠が翌年に復活し、新たに運用益が非課税な状態で投資を再開できます。

このように一部を売却して中身を入れ替えていくことも、そのまま保有し続けることもどちらも可能です。

例えば、成長投資枠で500万円の金融商品が、800万円で売れた場合、運用益はいくらでしょうか?

300万円です。

この場合、1800万円の非課税枠から減るのは、売却益も含んだ800万円(時価)ではなく、運用益を含まない取得価額(簿価)の500万円分です。したがって、新たに500万円分の非課税投資枠が復活します。 注意点として、この非課税枠が復活するのは翌年以降になります。商品を売却したその年のうちに、空いた枠で追加投資することはできません。

約20%の金融所得課税が非課税になる仕組み

先ほどの例では、300万円が運用益になりました。NISAは非課税なので、この運用益には税金がかからず、300万円をそのまま受け取れるのでしょうか。

税金はかかりませんが、例えば上場株式の売買には手数料などがかかる場合があります。ですので、大まかには「運用益から手数料が引かれた金額」が手元に残ると考えてください。

税金については、以前お話しした「金融所得課税」を思い出してください。利子所得や配当所得、株式等の譲渡所得などですね。

「金融所得課税」は、金融商品の売買などで得た利益にかかる税金で、一律でおよそ20%の税金がかかるということでした。

そうです。NISAに税金のメリットがあるといわれるのは、この「約20%の税金がかからない」という点です。

新NISAになる前の旧NISA制度では、非課税で運用益を保有できる期間に上限がありました。積立NISAは最長20年、一般NISAは最長5年といった具合です。これを「非課税保有期間」といいますが、この定められた期間内に売却しないと課税されるのが旧NISA制度です。新NISAでは、この非課税保有期間が無期限になったため、長期投資をしやすい制度になりました。

冒頭に、「投信積立」という言葉が出てきました。これはNISAとは別に、いまでも利用できますか?

はい、従来の投資信託の購入や積立投資もこれまで通り利用できます。ですが、繰り返しになりますが、新NISA口座以外の口座で金融商品を購入して利益が出た場合、そこに約20%の金融所得課税がかかります。

課税される代わりに、何かメリットはありますか?

例えば、新NISAの対象ではない金融商品(一部の個別株・投資信託など)を購入できます。また、投資金額に上限はないので、1800万円の非課税枠を超えて、より多額の資金で運用したい方にはメリットがあるといえるでしょう。

第24話のまとめ

  • 新NISA制度の最大のメリットは、新NISA口座での運用益が非課税になる点。通常、金融商品の運用益には約20%の税金がかかる
  • 新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠がある
  • 「つみたて投資枠」は積立専用、「成長投資枠」では一括投資も可能
  • 新NISA制度の非課税枠1800万円は、運用益を含まず、取得金額(簿価)の合計で管理される

パーソナリティー:泉田良輔プロフィール

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株式会社モニクル
取締役 グループ戦略担当

泉田 良輔 Ryosuke Izumida

慶応義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年3月、株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、取締役に就任(現在は代表取締役)。2018年11月、株式会社OneMile Partners(現:株式会社モニクルフィナンシャル)を共同設立し、取締役に就任。2021年10月、ナビゲータープラットフォームとOneMile Partnersの親会社として、株式会社モニクルを設立し、取締役に就任。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京科学大学大学院非常勤講師。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」など

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