音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第18回の「金融分野共通#10 金融商品を「流動性」「安全性」「収益性」の観点で整理しよう!預貯金」「債券」「株式」「投資信託」、それぞれの特徴は?【第18話】」でお話しした内容を記事としてお届けします。
金融商品の「安全性」とは、「購入時の元本が保証されて、利子が約束通り支払われる」という意味です。
預貯金・債券・株式・投資信託の中で、安全性が一番高いのはどれだと思いますか?
その通りです。普通預金の金利は、銀行が定めるタイミングで多少変わりますが、大幅な変動はほとんどありません。
定期預金の金利には「固定型」と「変動型」がありますが、利子は契約時に決められています。
さらに、万が一、お金を預けている金融機関が破綻した場合でも、「預金保険制度」により1000万円までとそれにつく利子が保証されています。
預貯金の次に安全性が高いのが債券、次いで株式です。株式は、市場で価格が日々変動するので、購入時の金額(簿価)を大きく上回ることもあれば、下回ることもあります。
投資信託は、債券と株の組み合わせのバランスによって、安全性が変わります。
「収益性」とは、「期待される利益(収益)の大きさ」のことです。最も収益性が高い金融商品はどれでしょうか?
その通りです。収益性が高い順番に並べると、「株式、投資信託、債券、預貯金」となります。
ただ、投資信託は中身によって収益性が変わります。日本株式と外国株式、日本の債券と外国の債券など、さまざまな商品を組み合わせて構成されているからです。株式だけ、もしくは債券だけを扱う投資信託もあります。
基本的には、投資信託の設定通りに運用されるはずですが、バランスをとるように設計されています。
基本的には存在しません。仮にあったとすると、多くの人がその商品を選びますよね。結果的に、買いが殺到することで価格が上がり、結果的にリターンは下がってしまいます。そうなると、結果的に「安全性が高く、収益性は低い金融商品」になってしまいます。
「流動性」とは、「現金への換金のしやすさ」です。「必要なときに、すぐに現金に換えられる」金融商品は、流動性が高いということになります。
たとえば上場株式を持っている場合、証券取引所で売買して現金化できますが、すぐに現金が口座に振り込まれるわけではありません。
上場株式の場合、売買が成立する約定(やくじょう)から受け渡しまで3営業日かかります。金融の世界では、トレード(Trade)した日から2営業日後なので「T+2(ティープラス2)」と呼ばれています。
基本は3営業日なのですが、万が一、取引所のシステムが停止してしまうと、売買が成立せずに現金を引き出すことができなくなる可能性もあります。
これは私がポートフォリオマネージャーをしていたころの経験ですが、2001年の9.11テロのときに、証券会社を通してニューヨーク証券取引所に米国株を発注したのですが、その日は約定できませんでした。このように、非常時には取引そのものが止まるということもあるんです。もちろん、そうならないよう取引所も対応していますが、限界はありますね。
債券は「相対(あいたい)取引」といって、証券会社などが、売買の相手を見つける形式が一般的です。取引所で不特定多数とやりとりする株式とは違い、必ずしも売りたいときにすぐに売れるとは限りません。もっとも、株式市場でも流動性の少ない株式もあります。
ただし、国債は流動性が高い傾向にあるので、債券の中では、比較的スムーズに現金化できることもあります。それを踏まえると、未上場の株式と比べれば、債券の方がまだ流動性はあるといえるでしょう。
商品にもよりますが、投資信託の換金には、約定後2〜5営業日程度かかります。特に、海外資産が組み込まれている場合には、取引所が海外にありますから、さらに時間がかかることもあります。
株式や投資信託は、いますぐ現金化したいというニーズにはあまり向いていないですね。
そうですね。預貯金の流動性は最も高いといえます。安全性と流動性を担保できる一方で、収益性は犠牲になります。
注意しておきたいのが「外貨預金」です。外貨預金は、預金保険制度の対象外ですし、為替変動リスクもあるため、日本円の預貯金とは別物として理解しておく必要があります。
そうですね。流動性という観点で考えると、日々の生活では急に現金が必要になったり、現金でしか支払えない場面もあります。すぐに引き出せる普通預金に、当面の生活費を準備しておく必要があります。
ファイナンシャルプランニングの観点では、会社員であれば「傷病手当金」などの制度があることも踏まえて、現金で6ヵ月くらいの生活費を持っておくと安心だといわれています。
急な出費の内容や保険の加入有無などによっても変わるため、一概にはいえませんが、生活に必要な資金をすぐに使える形で備えておくことが大事ですね。
すべての項目が優れている「完璧な商品」は存在しません。自分の目的やライフスタイルに合わせて、どこに重点を置くかをしっかり考えることが大切です。