音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。
今回は、第11回の「資産形成に役立つ「金融」基礎知識!「金融商品」「金融取引」「金融市場」「金融政策」など」でお話した内容を記事としてお届けします。
「金融取引」や「金融機関」など、金融がつく言葉はたくさんあります。「金融」という言葉の意味を理解しておくことで、お金に関する理解がより深まるのではないかと思います。
個別のテーマについては、今後、詳しく取り上げていく予定ですが、今日は概要の理解をゴールとしましょう。
金融は、「お金」の「融通(ゆうずう)」と書きます。融通とは、貸し借りのことを指します。つまり金融とは、お金を必要としているところに、余裕のあるところからスムーズに資金を移動させる仕組みのことです。
「金融商品」を一言で説明すると、「債権と債務をやりとりする商品」ということです。
「債権」とは、お金を貸して、将来返してもらう「権利」のことです。「債務」は、お金を借りて、将来返済する「義務」のこと。この関係が成立する中で、金融商品という考え方が生まれます。
具体例を挙げると、AさんがB社の発行する「社債」を購入すると、B社はAさんに対して「債務」を負います。これは、B社がAさんからお金を借りている状態と同じです。
また、B社が発行する社債の金利が年利5%だった場合、Aさんは利子として、Bが支払う毎年5%の利息を受け取ることができます。このように、お金の貸し借りが行われ、金融の仕組みが成り立っています。
金融取引とは、「将来の金銭のやり取りを、現時点で約束する行為」です。
先ほどのAさんとB社の例も、金融取引にあたります。金融取引の結果、資金を提供する側(Aさん)には「金融資産」が生まれ、資金を調達する側(B社)には「金融債務」が生じます。
一般的に「金融取引」というと、金融商品の売買を指すことが多いですね。
金融機関は、金融取引を仲介する役割を持ちます。具体的には、銀行、信用金庫、証券会社、保険会社などが金融機関に含まれます。日本銀行のような中央銀行もその一種です。金融機関のことを「金融仲介」と呼ぶこともあります。
金融商品を開発・提供する役割もありますし、お金の貸し手・借り手の仲介や審査をしたりもします。
金融市場とは名前の通り「市場」=「マーケット」ですが、具体的にそういったものがあるというよりは、バーチャルな仕組みをイメージしてください。
金融市場には、「市場型」「相対(あいたい)型」の2種類があります。
市場型の代表例として、株式市場が挙げられます。株式取引をする方なら、株価ボードを見たことがあるかもしれません。株を売りたい人と買いたい人が多数存在し、リアルタイムで価格が変動していきます。一方で、売買が成立しなければ株価は動かず、同じ価格のままとなります。
市場型の金融市場では、不特定多数の売り手と買い手が集まり、売値と買値を決めています。値段が最優先事項で、買い手と売り手がマッチングされると値段が決まり、取引が成立します。「あの人から買おう」「あの人に売ろう」といった個別の取引ではありません。
一方、相対型の取引市場は、銀行の貸し出しをイメージすると分かりやすいでしょう。銀行は預けられたお金を貸し出す際に、借り手の審査を行い、条件を満たす個人や企業に融資します。その際に、「期限までにこの金利を払って返済してください」といった具体的な契約を結びます。このように、相対型の取引市場では、売り手と買い手が事前に特定される点が、市場型との大きな違いです。
そうですね。一般的に馴染みがあるのは、東京証券取引所の「プライム市場」のような、市場型の金融市場かもしれません。
フィンテックは、英語で金融という意味の「ファイナンス」と、技術という意味の「テクノロジー」の2つを合わせた造語ですね。実は、金融業界は昔からITに投資をしているので、あらためてフィンテックという言葉ができたのはも不思議な話ではあります。
ですが、いままではユーザーにとって分かりやすい形でテクノロジーを使った事例がありませんでした。社内のインフラなどには大きな金額を投資してきたのですが、ユーザーから直接見るところでは十分に使えてこなかったんです。ユーザーから見て便利になったサービスを、あえて”フィンテック”と呼んでいるのではないかと思います。
金融システムはITのことも含むのですが、金融取引を行う際に、金融機関が従うべきルールや仕組みのことも含みます。金融商品を金融市場で取引するときなどに、国や監督官庁が決めたルールだったり、ルールが定められていなくても「こうやって動きましょう」と、慣行的になっている仕組みなどを意味します。
世界の金融市場も含めた金融システムもあり、そちらは「グローバル金融システム」と呼ばれています。
そんな金融市場での「金利」の基準となる「政策金利」を決めるのが、中央銀行の金融政策なんです。
銀行などの金融機関は、政策金利を踏まえて個別に金利を変えます。この仕組みも金融システムの一部ですが、長くなるのでまた別の機会に解説します。
基本的にはそうです。政策金利は、中央銀行が金融政策の判断に基づいて決定する金利のことです。
なぜ中央銀行が金利を決めるかというと、金融政策の中で景気の過熱感などをコントロールし、「物価の安定」を目的としているからです。どの国の中央銀行のミッションも基本的には同じです。物価が安定すると、経済が健全に成長するという考えなんです。
今日100円のものが、次の日に100万円になっていたり、いきなり50円になったりする場合、今日買い物をすべきか、明日買うべきか、判断に困ってしまいますよね。
金融は、冒頭でお伝えしたとおり、いまと将来のお金のやり取り、金融取引をするためのものでしたよね。物の価値が短期間に大きく変わると、スムーズな金融取引ができなくなります。そのため、金融を回すためには物価の安定がとても大事なんです。
ちなみに、アメリカの中央銀行は特殊で、物価の安定だけでなく雇用の安定も重要なミッションとなっています。
金融には、大きく分けて「個人金融」と「企業金融」の2つがあります。「金融教育」と一般にいわれているのは、パーソナルファイナンス(個人金融)についてです。住宅ローンや消費者ローン、資産形成・運用など、個人が関わる金融のことです。
一方で、企業が資金を調達する手段(銀行融資や株式発行など)に関する金融のこと、これをコーポレートファイナンス(企業金融)といいます。企業金融を学ぶことで、個人の資産運用にも応用できる知識も得られます。