記事一覧|モニクルプラス

生活設計#1 人生の三大資金とは?ライフプランニングは資産形成の第一歩【第2話】 | 15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO | モニクルラジオ

作成者: モニクルプラス編集部|2025.02.04

ポッドキャストを聴く(生活設計#1 人生の三大資金とは?ライフプランニングは資産形成の第一歩【第2話】)

はじめに

音声メディア『モニクルラジオ』がお届けする金融教育ポッドキャスト「15分で学ぶ!社会人のマネーHOW TO」は、「これだけおさえておけば、お金で大ケガをしない!」をコンセプトに、全50回のプログラムを配信しています。この番組では、学校の金融教育カリキュラムを作る際にも使用されている「金融リテラシー・マップ」にまとめられている項目を踏まえながら、金融知識をひとつずつ学んでいきます。

今回は第2回の「人生の三大資金とは?ライフプランニングは資産形成の第一歩」でお話した内容を記事としてお届けします。

将来を見据えた資産設計「ライフプランニング」とは

泉田さん、今日のテーマは「ライフプランニング」ですね。

今日のテーマには金融に関する内容も出てきますので、そこにまつわる話からいきたいと思います。

実は、日本の金融の歴史は結構古くて、江戸時代からなんですよ。

そんなに昔なんですか?

はい。江戸時代には米の先物市場が大阪の堂島にありましたし、もうこの時から日本人は先物取引、現代でも使われている金融に触れているんですよね。

また、現在の保険のしくみにつながる、相互扶助の「講」も江戸時代にはありました。

「講」って、歴史の授業で聞いたことがあります。

「講」は相互扶助の団体なんです。こう考えると、実は日本でも金融教育は身近だったのではないかと思います。

泉田さんは資産形成においては「投資と保障のバランスは大切だ」というお話をされていますが、その辺もライフプランニングに絡めて聞いていければと思います。では、まず「ライフプランニング」という言葉の意味から教えていただけますか?

ライフプランニングとは、文字通り「人生設計」のことですね。

将来起きるライフイベントのタイミングと、それに伴ってどれだけのお金が出ていくのかを考えたり、将来どれぐらいのお金が入ってくるのかを把握して、どれぐらいのお金を準備しなくてはいけないのか、ということを考える作業のことを言います。

資産運用の目的は人生の選択肢を増やすこと

自分が将来こうしてたい、と「人生の設計図」を作るところからのスタートかと思いますが、年齢や状況によって、皆さん一人ずつプランは違いますよね?

そうですね。全く同じ人生を歩む人はいないので、やはり少しずつ違ってきます。

当然ながら年収や持っている資産は違いますし、またイベントの有無やタイミング、その規模も人によって違います。それを考慮して、考えていく必要があります。

もう一つは、年齢を重ねていくと、「こうしたい」と思っていたことが変わってしまう可能性もあるので、臨機応変に自分のやりたいことを実現するために、いまどうするのかを考えることが大切ですね。

特に明確な目標がなくても、できるだけお金の心配をせずに生きていきたいという思いは、多くの方に共通するのではないかと思います。そのためにどうしたらいいのでしょうか。

資産形成や資産運用する目的のほとんどがそこだと思っています。自分の希望を叶えられる環境を、できるだけ事前に準備しておくことが理想的ですよね。

もちろん、資産運用をすればすべて叶えられるということではないですが、自分の選択肢は確実に増えます。

人生の三大資金にはぞれぞれ数千万円必要?!

「人生の三大資金」という言葉もありますが、三大資金とは何か、またそれぞれの金額の相場感を教えてください。

ライフプランニングでは「人生の三大資金」とよばれるものがあります。それが何かというと、まずは「住宅資金」、家を買うお金です。次に「教育資金」、子どもの教育に必要なお金です。最後に「老後資金」ですね。いずれも、事情によって異なりますが、一般的には数千万円規模が必要だと言われております。

それぞれに数千万円必要ということですか。

それぞれに必要です。住宅資金であれば、場所や、戸建てかマンションかにより異なりますが、一般的には数千万円。最近では、都心だと「億ション」なんていう言葉も当たり前にありますね。

教育資金も、どういうふうにお子さんを育てたいか考え方によって違いますが、例えば国公立か私立かでも違います。最近は子育てに力をいれている自治体も多いので、給付金などによっても異なります。どういう進路を取るかで教育資金は大きく変わると思います。

人生において、分岐点がたくさんありますよね。

はい。全部国公立だったら、あまりかからないと思いますが、進学って、その時になってみないと分からないので、最初から計画をするのはなかなか難しいです。でも、余裕があればそれに越したことはないですよね。

老後資金も、2019年に金融庁から「老後2000万円レポート」というのが出て、かなり話題になりました。ただ、いま、その時と何が違うかというと、物価の上昇。皆さん痛々しいほど感じていると思いますが、インフレの時代なので、2000万では足りないという意見もかなり数多く出ていますね。

この「2000万円問題」、実はレポートの中を見ると分かるのですが、持ち家が前提なんですよ。

そこは大きなポイントですね。

老後になって家賃がそれほどかからないという前提に立っているので、老後も賃貸という方は、さらにお金の準備が必要になります。

なので、持ち家・賃貸の前提もそうですし、今後の物価次第で、2000万という数字も、すべての人がそれで足りるのかというと、ちょっと難しいのかなという気はしています。

インフレ時代に求められる資産運用の重要性

人生の三大資金、それぞれなかなかの金額だなと思いました。資産形成を意識的にせず、自分の給与を銀行に預金していくだけで、この三大資金を準備していくことは可能なのでしょうか?

現時点でたくさんお給料がもらえている人ならいいのですが、それでも、やっぱり銀行預金だけだともったいないですよね。

金利水準も少しずつ上がっているとはいえ、絶対的には低いです。一方でインフレ、物価の上昇はかなり急激で、その変化率が大きくなっています。金利よりもインフレ率の方が高いと、預金が実質的に目減りしてしまいますよね。やっぱり運用した方がいいかなと思います。ちなみに、先ほどの三大資金でどれが一番大事だと思いますか?

そうですね。やっぱり老後資金でしょうか。

それ、大正解なんです。では、なぜそう思いましたか?

根拠があるというより、自分にとって何が一番不安かなと思って答えました。

これは金融リテラシーを分ける問題かもしれません。

先ほど、三大資金の中で、住宅資金、教育資金というお話をしましたが、「住宅ローン」や「教育ローン」は聞いたことがありますか?

はい、あります。

そうですよね。なので、住宅を買う時、子どもを進学させる時というのは、基本的にはお金を借りることができるんですよ。

言われてみると、「老後ローン」って聞いたことがないですね。老後、つまり引退した後に、普通は金融機関からお金を借りることができないんですね。

そうなんです。なので、現役の時に準備しておかないといけないという話なんですよ。国もそこを意識して、2001年からiDeCoや日本版401kといった確定拠出年金の制度を導入しましたし、2014年からNISAをスタートさせています。

いま出てきた「401k」というのは、何ですか?

これは、米国の企業型確定拠出年金の制度のことです。日本の企業型確定拠出年金の制度は、この米国の制度をモデルに作られたので、日本版401kと呼ばれることもあります。

ちなみにiDeCoは個人型の確定拠出年金なので、日本版401kとは別のものですが、確定拠出年金というのには変わりがないです。

NISAやiDeCoの影響なのかもしれないですが、積極的に資産形成していきましょうというメッセージを、国が出し始めている気がします。これって最近の話なんでしょうか。

「貯蓄から投資へ」のスローガンは昔からありましたが、どちらかというと、金融業界、例えば、証券業界が自分たちの利益を考えて言ってきたのではないかと思います。日本人は預貯金が大好きなので。

確かにそうですね。

ただ、確定拠出型年金は厚生労働省、NISAは金融庁の管轄なので、本当に国がバックアップしている制度だと言えますね。老後資金を、国が国民にメリットがあるように準備してきたのではないかと思います。

「投資と保障のバランス」が安定的に資産運用を行うカギ

泉田さんはいつも「投資と保障のバランスが大切」というお話をされていますが、最後にこの点について教えてください。

まず、ライフプランニングをすると、皆さんおそらく「将来はこうしたい」ということを考えると思います。いま、新NISAを始めとして資産運用熱もかなり高く、将来のことを考えると、できるだけお金を増やしたいと思う人は多いでしょう。

ただ、自分が願うことばかり起きるのが人生ではない、自分が望まないことも起こる可能性があるというのは、皆さんご承知かと思います。そのためにも、攻めだけではなく守りが必要だと、資産運用でも思うんです。

「攻めと守りのバランス」ということでしょうか。

そうですね。万が一、投資を続けられない状況も考えておく必要があると思っています。積立投資をされている方も多いと思いますが、この積立投資は、体が健康で数十年問題なく働き続けることができて、その収入の中から投資を継続することができる、という前提にたっていますよね。

継続的に投資ができるものを、状況を担保する時に使える金融商品は、保険だったりするわけです。したがって、長期資産運用をすると決めたのであれば、その環境をしっかり金融商品で確保しておくことも大事だと思っています。そのスタンスを「投資と保障のバランス」だと言っています。

第2話のまとめ

  • 資産形成のスタートは、ライフプランニングを立てるところから
  • 人生の三大資金は「住宅資金、教育資金、老後資金」…この中でローン制度を使えない老後資金の準備が一番重要
  • 資産形成・資産運用を考える際には、「投資と保障のバランス」を意識することが大切

パーソナリティー:泉田良輔プロフィール