記事一覧|モニクルプラス

ビジョンを言語化し未来を作る。モニクルが挑んだリブランディングの舞台裏|特集|モニクルプラス

作成者: モニクルプラス編集部|2025.09.10

グループの一体感を伝えるために始めたリブランディング

本日はよろしくお願いします。まず、モニクルグループのリブランディングを始めたきっかけについて教えてください。

原田:以前から、グループ会社それぞれの認知のされ方に課題を感じていました。

たとえば、「株式会社ワンマイルパートナーズはマネイロ」「株式会社ナビゲータープラットフォームはLIMO」といったように、会社名も事業内容も別々なので、グループ全体としての一体感が伝わりにくい状況でした。実際にはグループで連携しながら取り組んでいるにも関わらず、それが外から見えづらい状況だったんです。

外部の方とのやりとりでも混乱を招くことが多く、説明コストが高いことが課題でした。


そうした課題を解決するためにもグループ全体でブランドを統一していく必要があると感じ、リブランディングに取り組むことに決めました。そしてそのパートナーとして、神田さんを迎えました。

神田さんは当時のことを振り返っていかがですか。

神田モニクルに入社する前は、ナビゲータープラットフォームとワンマイルパートナーズは事業内容の想像はついたのですが、グループを統括するモニクルがどういう会社なのかは正直よく分からなかった記憶があります。

原田:リブランディングには、「モニクルがどんな会社なのか」を分かりやすく伝えたいという目的もありました。モニクルグループのありのままの姿をそのまま受け取ってもらいたいと考えていましたね。

「モニクルらしさ」を言語化する試み

リブランディングは、まず何からスタートされたのでしょうか? 

原田:神田さんが入社してすぐのタイミングで、かなりの時間をかけて2人で話し合いました。そこで、モニクルとはどんな会社なのかを言語化をする作業から始めていったんです。

僕がいろいろな角度から話をして、神田さんが「こんな感じですか?」と絵にして返してくれる。そんなやりとりを重ねながら、少しずつすり合わせていきました。

実は以前から、モニクルについてきちんと言語化できていないもどかしさを感じていたんです。同じ業界で仕事をしている方にはモニクルの事業についてすぐに伝わるのですが、そうでない方にはなかなか理解してもらえない問題がありました。

原田さんも神田さんとお話ししていく中で、明確になっていった部分があったのですね。

原田:そうですね。「やはりきちんと伝えきれていなかったんだ」とあらためて気づ付きました。

ミッションとビジョンを再構築

言語化の次はどう進められたのでしょうか。

神田:まずはグループの「ミッション」と「ビジョン」をしっかり作らないと次のステップに進めないと思い、そこからスタートしました。

リブランディングに着手する前は、モニクルグループとしての一体感をどう出すかを考えていたのですが、 言語化を進めていくうちに、それぞれの会社の個性がはっきりしていることにも気づいたんです。

一体感と個性を、デザインとしてどうまとめようか考えていました。

原田:たとえばモニクルフィナンシャルについては、「人とテクノロジーが集約されている会社」というのが本質なのですが、そのまま表現すると「人だけの会社」に見えてしまうんです。そのバランスをどうとるかがとても難しかったですね。

元々バラバラだったロゴも、最終的には3社共通のものになりました。その背景について教えてください。

原田:神田さんから「ロゴマークは共通の方が良い」と提案があり、役員も全員賛成しました。「金融のモニクルフィナンシャル」「Webメディアのモニクルリサーチ」「開発のモニクル」と、モニクルグループには3つの会社がありますが、外部の方が各社を「モニクルさん」と認識してくれると良いなと思っていました。

ですので、ロゴと会社名を統一するというアイデアは、とてもしっくりきましたね。

デザイン面では、どんな点を意識して取り組まれましたか?

神田:自分の中では、「上場後も違和感なく使えるロゴ」をイメージして作りました。たとえば、10年後にモニクルがいまより大きなグループ会社になっていても通用するような、スケール感のあるデザインを意識しました。

そのビジョンは、原田さんの考えるモニクルの未来像とも重なっていたのでしょうか。

原田:そうですね。信頼感や力強さといった要素が、しっかりと表現されていたと思います。ロゴのファーストドラフトを見た瞬間に「お、すごいな!」と感じました。

ロゴの方向性は、比較的早い段階で固まっていたのですね。

神田:はい。唯一悩んだのが色味でした。濃紺と黒で迷ったのですが、最終的には黒にしました。

原田:色を黒にしたことでロゴ全体がぐっと締まった印象になりましたよね。とても満足しています。

同時に、3社の公式サイトもリニューアルされましたが、振り返ってみていかがですか。

神田:どのプロジェクトにも共通していえることですが、100点満点というのはなかなか難しいなと感じています。デザインの仕事は、完成してから公開されるまでに少し時間が空くことが多く、後から見返すと「ここはもっとこうしたらよかったかもしれない」と思うことも出てきます。

原田:その頃にはもう、考え方や感覚が変わっているということですよね。

神田:まさにそうですね。でももちろん、その時点でのベストを尽くして取り組んでいますし、今後もモニクルらしさを伝えていけるように、引き続きブラッシュアップしていきたいと思います。

リブランディングで感じた社内外の変化

原田さんは、リブランディングを終えてみて、どのように感じていますか?

原田:神田さんは本当に大変だったと思います。僕は「こういう風にしていきたい」と道筋を示しただけで、実際に手を動かしてくださった神田さんや、関係部署のみなさんには感謝しかありません。

最近は、外部の方とお話するときに、僕が「モニクル」と「モニクルフィナンシャル」どちらの名刺を出しても「モニクルさん」と呼ばれるんですよ。それを聞くたびに「リブランディングに成功したな」と感じています。

また、モニクルに対して「ITが強い会社」という印象を持っていただけるようになったのもうれしい変化です。単なる金融サービスやメディアの運営会社ではなく、技術的な基盤がある会社という認識が広がっているのではないでしょうか。もちろん、業績が伸びているという要素もその背景にあるのではないかと思います。

神田さんはいかがですか?

神田:営業を介して受注するクライアントワークとは異なり、自社の取り組みとして主体的に進めていけるプロジェクトだったので、非常にやりがいがありました。

ただ、その一方で、当時はデザイン部のチームづくりも同時に取り組んでいたので、そのバランスをとるのは大変でした。

原田:部署の関係構築フェーズと大きいプロジェクトの立ち上げが重なっていたので、その苦労はあったと思います。

神田:そうですね。でも、社内メンバーと直接やりとりしながら進めることができたので、もどかしさは全くなかったですね。とてもスムーズに進められた感覚があります。

リブランディングを通じて、他にはどんな変化が何かありましたか?

原田:この1年だけでも、すでに求人への応募者の質に変化が出ていますね。

今後、さらに多様な人材が加わってくれると思いますが、今回のリブランディングを通じてモニクルのカルチャーを言語化できたことは大きかったと感じています。これからもその「土台」の部分はずっと大事にしていきたいですね。

人が増えると、どうしても共通言語や共通認識が薄れていく部分もありますよね。

原田:そうですね。「モニクルの考え」みたいなものを、ある程度みんなが共通して持っていると、会社全体としても安定感が出てくるんですよね。また、言語化と同じくらい非言語の部分、つまりカルチャーもしっかり残していくことが重要だと考えています。

モニクルの言語化を通じてミッションやビジョンなどを設定しましたが、今後、例えば会社の成長に応じて見直しなどもあるのでしょうか。

原田:それはあると思いますね。ただ、バリューズは変わらないと思います。パーパスも元々の原点なので変わりません。

ビジョンが一番変わるのではないでしょうか。ビジョンは到達地点なので、それは会社のステージが上がるとともにもっと大きくなります。

ビジョンが変わるというのはすごく楽しみです。

原田:そうですね。変えられるように頑張りたいなと思います。

どう社内外へブランドを浸透させていくか

リブランディングを終えた後は、社内に浸透させていく必要もあると思いますが、どのように取り組まれましたか?

神田:先日、マネイロのインセプションデッキ(プロジェクトの目的や方向性を共有するためのシート)を作ったんですが、モニクルとモニクルフィナンシャルではミッションとビジョンが違うと思っている人がいたんです。

モニクルはビジョンが、モニクルフィナンシャルはミッションが前面に出ているなどの違いがあるためかと思いますが、まだ社内には十分に浸透していない部分があると実感しました。

原田:モニクルフィナンシャルは、ミッションの浸透がすごいんですよ。「安心を届ける」という言葉がメンバー一人ひとりに根付いていて、評価制度にも組み込まれています。

モニクルフィナンシャルのメンバーは、日々お客様と直接向き合っているので、ミッションも自然と浸透していくのかもしれませんね。

原田:そう思います。特にフロントに立つメンバーは、 お客様と接する機会が多く、その分「安心を届ける」というミッションを意識しやすいのだと思います。

一方で、制作チームなどは、お客様との接点や前後の流れが見えにくいこともあるので、会社全体がどの方向に向かっているのか分かりづらいという側面があるのかもしれません。

だからこそ、会社がいまやっていることをミッションやビジョンと紐づけて、積極的に情報発信していくことが大事だと感じています。会社として、発信を支える仕組みをもっと整えていく必要があると思っています。

社外向けの浸透施策についてはいかがでしょうか?

原田:社内向けの施策には、やはり広報が重要だと感じていますが、実はいままでは積極的に広報活動をしてきませんでした。

というのも、モニクルはエコシステム全体で価値を生む会社なので、"パーツ”だけお見せしてもその全体像が伝わりにくいと感じていたんです。

ですが、リブランディングを通じて「3社がつながってビジネスをしている」という構造が明確になり、外部の方にも伝わりやすくなったのではないかと思います。ここから積極的に広報活動に力を入れて、丁寧に発信していければと考えています。

モニクルが目指すこれからの成長

リブランディングから1年が経ちましたが、今後、モニクルグループをどのように成長させていきたいと考えていますか?

原田:僕としては「ありそうでなかったものを発明するグループ」になりたいと思っています。

現在のモニクルの事業内容は、既存の領域の掛け合わせでできているんです。たとえば「人×IT」といった切り口もそうですが、組み合わせによって新たな価値を生みだしていくのがモニクルのDNAだと思っています。

社会にニーズはあるけれど、時代の変化によって新しいペインが生まれている。そこに対して、どんな組み合わせで解決していけるのか。そんな思考回路を持った会社なんです。

そして、既存のものの掛け合わせだからこそ、そこには大きなマーケットがある。大きなマーケットの掛け算で新しい価値をつくれる会社は、やはり強いと思います。「モニクルがやるなら面白そうだな」といってもらえる存在になれればうれしいですね。

モニクルのそうした強みを、神田さんはデザイン面でどう表現されますか? 

神田:モニクルにはもっと大きくなってほしいですし、知名度も上がってほしいです。そして有益なプロダクトをたくさん運営している会社になっていたいですね。「このサービスもモニクルのものだったのか」とユーザーに思ってもらえる状態ですね。

そのためにも、使いやすいプロダクトのデザインと、それらの器としてのモニクルのブランドデザインをうまくバランスを取りながら表現したいです。

原田:会社がこれから成長していく中で、さまざまなメンバーや企業が加わっていくことになるかと思います。今回のリブランディングでモニクルのビジョンやカルチャーが明確になったことで、共鳴してくれる人が自然と集まりやすくなったのではないかと考えています。

たとえば今後、M&Aなどで全く違う領域の会社がグループに加わることがあったとしても、モニクルの価値観がしっかりと伝わっていれば、同じ方向を向いて進んでいけるはずです。そういった意味でも、リブランディングには大きな意義があったと感じています。

本日はありがとうございました。 

原田・神田:ありがとうございました。